127話
初めて生で見るサッカーの試合にドキドキしてきた。
ピーーーー!!!
一応スタジアム形式になっているグラウンドでホイッスルの音が響く。
涼也の中学生活最後の試合が始まった。
青いユニフォームが涼也達のチームで、相手チームが黄色いユニフォームだ。
涼也のチームからキックオフで、綺麗なパス回しで順調に前へとボールを送っている。
「これって1試合何分なのー?」
「わかんない、瑛太知ってる?」
「確か前半30分、後半30分だったと思うぜ」
…へぇ、もっと短いのかと思ってた。瑛太よく知ってるなぁ。
「あ!涼也にボールきた」
伊勢さんの言葉を聞いて相手ゴールの方を見ると、あっという間にゴール前にいる涼也にボールが回ってきていた。
警戒されているのか相手チームの選手が2人が涼也の所に来てブロックしようとしているけど、そんな2人をスッと避けてシュートを打っていた。
パスっ
という音が聞こえそうなほど綺麗にゴールの端に決まるシュート。
「うぉ!すげぇな!涼也めっちゃうめぇじゃん!」
「ね!やば!もう1点とっちゃったよ!」
「勝てそうじゃん」
瑛太と椎名さんと伊勢さんが盛り上がってる。
「すごいね!なんかあっさり決まっちゃったね!」
「涼也ってこんな上手かったんだ…」
その後白熱した試合で、前半が終わるまで最初に涼也取った1点しかゴールが決まらなかった。
ハーフタイムになり自分たちのベンチへと向かって行った涼也達。
「直樹ー!ちょっとベンチの近くまで行って声掛けてみようぜ!」
そう言って立ち上がった瑛太に続いて俺も席を立った。
「ちょっと行ってくるね」
明里さんにそう伝えて瑛太と共に観客席の階段を降りてベンチ近くまで来た。
「今は話しかけづらいな」
「ちょっと待ってみよう」
顧問の先生が涼也達になにやら作戦会議をしているのでそれが終わるのを待った。
5分ぐらい待つと解散して各々ストレッチなどをやり出した。
「涼也ー!」
と、瑛太が大きな声で叫ぶとキョロキョロ周りを見渡して俺と目が合った。
「あ!涼也気づいたよ」
俺が手を上げると涼也も手を上げた。
「ゴールカッコよかったぜー!後半も頑張れよー!」
「はは!来てくれてありがとなー!」
瑛太の声に応える涼也。
後半が始まりそうなので明里さん達がいる席へと戻った。
「渡辺くん気づいてくれたみたいだったね!」
「うん、応援来た甲斐があったよ」
席に戻ると話しかけてきた明里さんだったけど、汗をかいていて暑そうだった。
「明里暑そうだけど大丈夫?喉、乾いてるんじゃない?」
「飲み物買いに行こうか悩んでたの!なんで分かったの!?」
「そりゃ彼氏ですからね。俺も喉乾いてるんだ、一緒に自販機行こ」
「いくいく!」
2人で席を立って
「ちょっと自販機行ってくるね、みんなの分買ってこようか?」
と瑛太達に声をかけると
「いいのか?じゃあ俺コーラで!」
「私もコーラで」
「ウチ緑茶でー」
と皆の分もついでに買ってくることに。
「わかった、じゃ行ってくる」
確か下の通路のところに自販機コーナーあったな。
明里さんと2人で自販機を目指した。
自販機がある通路にやってきた所で、どうやら後半戦が始まったみたいで、騒がしくなった。
「瑛太と椎名さんがコーラで、伊勢さんが緑茶だったな」
ポケットから財布を取り出して自販機に1000円札を入れた。
「明里好きなのどうぞ」
「ありがとー」
スポーツドリンクのボタンを押す。
そのまま連続で買えるタイプの自販機だったみたいで、俺も明里さんと同じボタンを押した。
瑛太達の分も買って席に戻ると涼也達のチームが相手チームの猛攻を受けているところだった。
ゴール前に攻め込まれてなんとかシュートをキーパーがブロックするけど、弾いたボールを相手に押し込まれて1点取られてしまった。
「ありゃ、同点だね…はいこれ」
瑛太と椎名さんと伊勢さんに飲み物を渡す。
「サンキュー、後半始まってすぐに速攻が決まった感じだなぁ。相手チーム前半はスタミナ温存してたっぽい」
「サッカーのこと全然分かんないんだけど、涼也達やばそう?」
「前半ガンガン攻めてたから結構スタミナ使ってんじゃないかな…それで同点になっちまったから厳しいかもな」
その後は瑛太の予想通り、徐々に攻められる展開が増えていった。
それでもなんとか同点のまま後半を終える。
同点のため10分の延長になるみたいだ。
客席から見ていても分かるほど、涼也は大声でチームメイトを鼓舞している。
「せっかくなら渡辺君たち勝って欲しいよね」
「そうだよね」
相手チームを応援する声も、俺らの学校のチームを応援する声も最高潮。
最初に動いたのは相手チームだった。
中央付近で涼也チームのパスミスを上手く拾った相手にチャンスが生まれた。
サイドにボールをパスした相手はそのまま攻め上がり、外から中に繋げたパスからのシュートがゴールを揺らす。
「やばいやばい!」
「やべぇな、残り5分ぐらいか…」
その後、涼也たちも果敢に攻めるけれども相手の守備を突破することは出来ない。
無情にも時間が過ぎ、ピッ、ピッ、ピーーという試合が終わるホイッスルの音が響いた。
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