第6番『クラヤミ』
あれから1ヶ月が経った。その1ヶ月の間は特に何もなかったのだが、村の人とは大分仲良くなれたような気がする。
と言うよりみんなの雰囲気が大分変わったのだ。なんか優しくなったというか。この前なんていったら食料確保のために狩りをしに行った後、食事をご馳走になったりしたし、大分異世界にも慣れてきたたかもしれない。
そんなある日、思わぬ報せが入ってきた。
「……キルシュが行方不明だって?」
キルシュが帰ってこない?そんな訳がない。この前聞いたのだが、キルシュは二等剣士なのだと。
この世界には五等から一等、そして特等という等級が剣士と魔術師のそれぞれにあるらしい。
クレアが大魔術師なのは、そのような階級が存在しない頃から生きていたかららしい。怖い。
「キルシュが帰ってこない?そんな訳ないでしょう…?二等剣士ですよ…?」
そう。二等剣士は剣士の中で上澄みの部類だ。一等や特等には届かないが、それでも強い方ではある。
だからこそ帰ってこないのが不思議というか心配でしかないのだ。二等騎士でさえ敵わない相手となると、かなりの強敵だろう。
「……キルシュはどこに行った。村長、教えてくれ。」
「……北の暗闇の森に向かったっきりです。」
「わかった村長、ありがとう。」
「カズト様!くれぐれもお気をつけて!」
あぁ。分かってる。場所が分かったのなら早速準備だ。鍛冶屋へ向かおう。
「ジャネル。剣を1本くれないか。」
「ん?カズトか。いいが、もしかして暗闇の森に向かうつもりじゃねえよな?キルシュの件で。もしそうならとっておきをくれてやる。」
「ありがとうジャネル。それなら、とっておきを貰おうかな。この恩はいつか返す。」
「あぁ、気をつけろよ、カズト。」
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村から北に1時間ぐらいで暗闇の森についた。
「……必ずキルシュを助けるからな。僕にとってはみんなが異世界の家族だ。」
森に入ってみるとそこは深い霧に満たされたどこか不気味な森だった。暗くて、おぞましいような雰囲気だった。
「光の精よ、我が周りを照らしたまえ。『ライトステラ』。」
僕が呪文を唱えると、僕の周りが光で照らされる。なぜ僕が光属性の魔法を使えるのかというと、それは数日前に戻る。
──────────
「カズトよ、お前の音魔法は味方を強化するだけのようじゃ。1人の時はどうするんじゃ。」
クレアの小屋を訪ねてみたら、いきなりこんなことを言われた。
「そりゃあ、剣術をどうにかするしかないでしょう。」
「無理じゃな。お前のその身体じゃほんの数分動けば身体が動かなくなるじゃろう。」
確かに。僕のヒョロヒョロボディだと、剣をちゃんと使えるようになるまで1年以上はかかるだろう。
「それなら、何か他に方法があると?」
「そうじゃな。光魔法を教えよう。」
……は?僕の魔素は音属性なのでは?
「僕の魔素は音ですよ?光は使えないんじゃ?」
「普通ならな。妾が定期的にお前に光魔素を注入する。そうすればs一時的に魔素を使い切るまでは光魔法が使えるということじゃ。」
なるほど。そんな手もあったのか。
「なら、光魔法を使えるようになりたいです。ちなみにその方法で音魔術を他の人に使ってもらうことは?」
「無理じゃな。妾が得意とする秘術なのじゃ。今はもう失伝しておる。」
あっ、そうですか。音楽を世界に広めるのは難しそうだ。
──────────
こうして現在に至る。それで僕は5級レベルの光魔法は使えるようになった。まぁ威力は粗末なものだが。
「まぁともかくこれで周りが見えやすくなったな。」
森の奥まで進んでみよう。奥まで行けばキルシュも見つかるかもしれない。
……何分経っただろうか。まだ見つからない。別の方向でも探してみるか……ん?なんか光が見える。もしかしてキルシュか??行ってみよう。
光の方に向かってみるとそこにいたのは、───ボロボロのキルシュと、黒色のドラゴンだった。
「…は?ドラゴン?なんで暗闇の森に?」
ドラゴンは基本一級以上の等級だ。もし暗闇の森にいたらすぐに討伐依頼が出ているだろう。それに王都のギルドが認識していない訳がない。
「いやはや、これで大人は2人目の生贄ですか。」
そう聞こえたあと、僕が瞬きをした瞬間、黒いローブを着た狐の面で顔を隠した男が目の前に現れた。
「…は?お前は誰だ…キルシュに何をした…!」
ローブの男はゲラゲラ笑った後、話を始めた。
「我の名はダーマ。別名『黒龍』ともいう。貴様にも分かるように言えば邪神王様の忠実なる配下とでも言うか。」
…は?邪神王?キルシュから聞いたことがある。かつて世界を半分に分けた伝説の魔王だと。
だが確かとうの昔に封印されたはずでは?
「邪神王はもう封印されたはず。虚言はやめろ。」
「虚言などではない。それに、確かに邪神王様は封印されているしな。だがその配下はまだ生きているに決まっているだろう。」
「まぁお前が邪神王の配下なんてのはいい。キルシュを返せ。」
「こいつは我が権能『龍種召喚』の生贄である故、渡すことはできぬ。」
ならいい。力づくで返してもらう。キルシュ、待っててくれ。僕が絶対に救い出してやる。
5話ぶりですね!おはこんばんにちは。少しキルシュについて補足があり、
後書きを書かせてもらいます。二等剣士であるキルシュが、なぜ最初魔獣
に苦戦していたのか。それはその魔獣が30〜50匹の集団で行動するもの
だったから。まぁ簡単にいえば現実の蜂などですね。蜂とは違い1匹ずつは
弱いのですが、殺虫スプレーみたいなのは異世界にありませんので。
それにキルシュは魔術師じゃないので広範囲を一瞬で…みたいなのは
できないわけです。それでは補足も終わりましたので、
今後ともこの作品をよろしくお願いします!




