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異世界転移した音楽家、『音』で味方をバッファーする  作者: どらむ缶
第2楽章:王都編

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第15番『特等』

 ダンジョン攻略の翌日、僕たちはギルドへと戻った。

 どうやらあのダンジョンは本当は2階層で終わりだったらしく、3階層はダーマによって人工的に作られたものだと後から分かった。


 僕たちは早速邪神王に関することギルドに共有した。

 僕からも、暗闇の森で起きたことを共有した。

 数日経って、今まさに邪神王についての会議中である。……とは言っても僕は参考人で、他の人はルナさん以外知らない顔だ。


「なるほど。古の邪神王ですか。あの英雄でも苦戦したと言われています。やはり対策を練った方がいいのでは?」


 赤髪の右目が前髪で隠れている青年が言った。


「いや、まだ相手の目的も分かってはいないんだ。下手に見当違いな推測をして、そこばかりに戦力を置くのもよくない。」


 緑色の髪の蒼い目をした髪を後ろ結びにしている青年が冷静に言った。

 もう1人実はいるのだが、机に伏せて寝ているため、顔は見えない。少し情報があるとすれば桜色の髪色でショートボブの子で背丈は小さいこと。

 …そんなことを考えていると、青年2人が口論をしているようだった。


「だからって何も対策しないのかよ!好き勝手やらせるのか!」


「戦力を分散させればいい。そうしたら時間稼ぎはできるだろう。」


 赤髪の方は少し興奮しているようで血管が浮き出ている。


「時間稼ぎだ?一時的でどうするんだよ!お前は…!」


 何か言おうとした時、ルナさんの「鎮まりなさい」という声が響いた。


「対策に関しては私がやります。あなた達は万が一に備えて。それ以外は通常通り。以上。」


 こうして会議は終わった。他の人はどんどん部屋から出ていく。……1人寝たまんまだけど…


「ルナさん、今会議に出ていた人たちは?」


 そう僕が言うと、ルナさんは僕の方に来てくれた。


「彼らは、私以外の特等剣士、魔術師の内の数人です。」


 ………ん?特等?…もしかして僕今、特等の中にいた?…は!?いや僕特別二等魔術師だよ?

 ……てか、あの人たちがこの国のトップのうちの数人か。すごいな。


「そういえばカズトさん、5日後にき合って欲しいことがあります。ついてきていただけますか?」


 僕が脳内で混乱している時に、ルナさんがこう言ってきた。いわゆるお出かけのお誘いだろうか。


「はい。どこへでもついて行きますよ。」


 そう言うとルナさんは笑って「ありがとうございます」と言ってきた。


「では5日後の正午ごろにギルドの受付で集合しましょう。」


 そして僕は部屋を出た。


「おい。」


 声がしたので振り返ってみると、そこに赤髪の青年が立っていた。


「はい、何でしょうか。」


「…お前、ルナさんと仲がいいのか。」


 突然そのような質問が飛んできたので、驚いてしまった。うーん、僕って仲がいいのかな。


「そんなに仲がいいとまではいかないと思います。」


 そう言ってみたが、青年から疑いの眼差しがこちらに向けられる。


「…仲良くないのなら、なぜ今2人で話していたんだ。……。本当に中は普通なんだな??」


 ……怖い。鋭い視線が僕の心臓を突き刺している。これ、何て答えればいいんだろうか。


「今はお出かけのお誘いを受けただけで…」


「お出かけのお誘い????」


 あ、ミスった。地雷を見事に踏みまくってしまった。赤髪の青年は僕の胸ぐらを掴んでいる。

 僕、殺される??


「……やっぱ仲良いんじゃねえか…嘘ついたな…??」


 僕が死を確信した瞬間、ドアが開いてルナさんが出てきた。赤髪の青年も、胸ぐらを掴むのを一瞬でやめた。


「あれ?カズトさんにヴァルザン。何かありましたか?」


「いいえ、ただ親睦を深めていただけです!!…なっ!」


「お、おう……」


 赤髪の剣士…ヴァルザンはルナさんを見るなり目を輝かせながら答えた。

 もしかしてこいつさ… …


「そうなんですね。では私は行くので、2人とも仲良くしてくださいね。」


 そう言ってルナさんは廊下を歩いていった。……ヴァルザンはというと、背筋はいいし、目はキラキラしてるし、先程とはまるで違った。まるで本当に人が入れ替わったようだ。


「あの、ヴァルザンさん。」


「何だよ…なんか文句でもあんのか、、」


「……もしかしてヴァルザンさんってルナさんのこと………その、好きだったりするんですか?」


 そう言うとヴァルザンは固まってしまった。そして数秒経ってから口を開いた。


「…俺、そんなに分かりやすかったかなぁ…」


「はい、とても。というか、僕に仲がいいか聞いたのも…」


 ヴァルザンは少し恥ずかしそうな仕草をしたあと、頷いた。


「そうだ。趣味とか好きな男のタイプとか聞きたかったんだ。」


「なら、ひとつだけ言えるのは、会議であんな態度をとる人は、多分タイプじゃないと思います。」


 そう言うとヴァルザンは肩を落として落ち込んでいた。


「そうだよなぁ、俺怒りやすいからなぁ、性格なんだよなぁ…」


「…じゃあ僕が後でタイプでも聞いておきましょうか?」


 そう僕が言うと目を輝かせながらこっちを見てきた。いや、感情の起伏激しいな。


「本当か!!本当にありがとう!!…そういえば自己紹介だな。俺はヴァルザン。特等剣士だ。」


「僕の名前はトヅカ•カズト。音魔法を使う特別二等魔術師です。」


 こうして、特等剣士との男の友情が芽生えた。ヴァルザンと別れたら、ほぼ正午となっていた。

 暇だったので受付に行ってみると、そこにはダル達がいた


「カズト!会いたかった!」


 ダルは僕を見るなり僕に向かって飛んできた。


「数日ぶりだけどね。ヒューズ達も元気そうで何より。」


「そうだなカズト。お前も元気そうでよかった。」


 ヒューズ達によると、今はクエスト終わりで、クエストの報酬をもらっていたそう。


「そうだカズト!今から僕と一緒にお出かけしようよ!」


 うーん、お出かけかぁ。まぁたまにはいいだろう。


「分かった。じゃあ行こう。」


 僕がそう言うと、ダルはすぐ僕の方へ来て、僕の手を引っ張った。


「行くよカズト!僕がエスコートしてあげる!」


 こうして僕とダルのお出かけが始まった。


「最初は服屋さん!僕新しい服欲しかったんだよねー!」


 早速服屋について、中に入ってみる。そこには色々な種類の服があった。


「へぇ、王都の服屋ってこんな感じなんだ。」


 僕が色々服を見てると、ひとつ気がついたことがあった。

 そう。日本に売っている服と大差なかったのだ。さすがは異世界…とも思ったのだが、そうではないのだろう。


「見てみてカズト!似合ってる!」


 声の方向を見ると、白いワンピースを着たダルが試着室から出てきた。


「うん、似合ってるよ。」


 僕がそう言うとダルは少し喜んでから試着室に戻り、元の冒険服に着替えてから出てきた。


「よし!じゃあこの服にする!」


「いいのか?もっと考えなくても。」


「いいの。僕もこれ気に入ったし、カズトも似合ってるって言ってくれたしね。」


 僕はダルが会計をしている間、服屋の外で待っていることにした。

 それにしても、誰かと2人で買い物なんて、前世ではあり得ただろうか。前世の僕は音楽しか無かったからな。この世界でこう言うことができて嬉しい。

 

 少し待つとすぐにダルが出てきた。そしてどうやら次は鍛冶屋に行きたいらしい。


「最近武器の切れ味が悪くってさ。研いでもらいたいんだ。」


 確かに、剣士なら剣の手入れは必須だよな。僕は魔術師だからいいけど。

 少し歩いて、鍛冶屋についた。ダルに外で少し待っててと言われたので、待つことにした。

 本当にすぐダルが出てきた。


「時間かかるらしいから、一緒にパフェでも食べに行こうよ!」

 

 ダルがそう言ってきたが、パフェだって!?そんなの食べに行きたいに決まっているじゃないか!!

 僕たちはすぐさまパフェが食べれる店へと直行した。


 店に入ると、案外空いていて、すぐ席に座れた。そしてパフェを頼むと、店員さんはすぐにカウンターの方へと歩いて行った。


「そういえばカズトってここに来る前はどんなことしてたの?」


 ダルにそんなことを聞かれた。…が、前世の話なんてできるわけがないので村の話をすることにした。


「僕が王都に来る前に、一度ダーマとは戦っているんだ。その時も何とか勝てたけど、それももう1人剣士がいたからなんだ。」


「へぇ、どんな人?」


「キルシュっていう二等剣士だよ。」


 そんな話をしていたら、案外すぐにパフェがきた。ダルがすぐにパフェを食べ始めると、僕もパフェを口に運ぶ。美味しい。今までは異世界の料理しか食べてこなかったが、日本でも食べられるようなものを食べられると、より一層美味しく感じる。


「ふー、美味しかった。カズトもどうだった?」


「とても美味しかった。」


 そんなふうな会話を終えると、ダルがまた口を開いた。


「あのさ、カズト。また機会があったらだけどね、」


「一緒に、またパフェを食べに来ようね!」


 会計を済ませると、ダルは鍛冶屋に戻っていった。僕は自室に戻り、休みことにした。

 その後の5日間はゆっくり休んだ。何もせず、部屋でゴロゴロしていた。もちろん、魔法の練習もしながら。

 そして、5日後の正午、僕はギルドの受付へと足を運んだ。

 そこにはヒューズ達がいた。


「カズトじゃないか。もしかしてギルマスに呼ばれたのか?」


「そうだ。ってことはヒューズ達も?」


 そう問うと、みんなは頷いた。僕たちが集められたのは、きっと何か理由あってのことだろう。


「遅れてしまい、申し訳ございません。少し準備に時間がかかってしまい…」


 そう言って現れたのは、きっちりとした黒の制服を着たルナさんだった。


「いいやギルマス。あんまり待ってねえよ。今来たとこだ。…てか何で俺らが集められたんだよ?」


 確かに、それは僕も気になる。理由も、目的地も知らないからな。

 このまま奴隷市場に売り出されでもしたらどうしようか。


「目的地は移動しながら答えます。どうぞ、入り口に馬車があります。それに乗って移動しますよ。」


 そして僕らは馬車へと乗った。ダルはちゃっかり僕の隣をキープしている。


「では、目的地を話しましょうか。目的地は──」


「王宮です。」

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