第13番『研究所』
無事に僕らは2階層を踏破できた。さすが特等の力といったところだ。あのレベルの魔法はヤバすぎる。
僕がひとつ理解したのはあの人、ルナさんは闇と光の2属性を使えるらしい。
「…では、奥にある鉄扉を開けてみましょうか。おそらく、転移魔法陣か宝物庫でしょう。」
僕たちはルナさんに続き鉄の扉に入って行った。そこには、新たな階層への転移魔法陣だった。
つまりは、もう1階層は確定している。
「まぁ、一回ここで休みましょう。明日3階層の攻略を進めましょう。」
はぁ、疲れた。あれがダンジョンのボスじゃなかったなんてな。
今日はもう寝よう。起きてる気力もないや……ん?なんかダルさんが僕の近くに来た。
「どうしましたか?ダルさん。」
…というか近い。今肩がお互いぶつかってるよ。
「…うん、さっきはありがとう、僕のこと助けてくれて。」
わざわざお礼を言いに来てくれたのか。いい人だな。
「いえいえ、僕も貴方を助けることができてよかったです。」
「……それで何だけどさ、カズトって呼んでもいい?少し仲良くもなってきたと思うしさ。」
「えぇ、ぜひ。では僕もダルさんのこと、ダルとお呼びしても?」
そう聞くとダルさんは少し照れながら頷いてくれた。
「ではダル。明日も頑張りましょう。」
「……うん、頑張ろうね。僕も明日は活躍するから!」
そう言って、ダルはルナさんの方へと行ってしまった。ルナさんは僕をみて少し笑った。
まぁでもこれでようやく寝れる。疲れを取らなければ…特に魔力も。
………辺りを見渡してみると、まーた何もない空間にいた。はぁ、また大女神様のありがたいお話ですか。
目の前にまた大女神が現れた。
「そうよ。ありがたーい忠告ね。貴方に邪神王について教えようかなって。」
何でそれまた急に。教えてくれるならもっと早く、それに黒龍の時でよかったじゃん。
「いいえ、今回はあくまで『忠告』よ。おそらく、3階層には邪神王配下、別名『邪神教徒』がいる。それに結構の強者よ。」
なるほどね。だから行くなってことか?
「いいえ、逆。注意して攻略しなさい。…というより、多分貴方も会ったら驚くよ。」
へぇ、そんな相手なんだ。なら会ってみようかな。じゃあ大女神様。最後に邪神王について教えてよ。
「…邪神王はね…とっても強いやつだよ!じゃあばいばーい!」
は?おいそれだけかよ!もっと情報くれよ!おーーーい!
……誰かが僕を起こしている声がする。はぁ、朝か…
「カズト!起きて!朝だよ!」
「……ん、あぁダルか。おはよう。」
僕を起こそうとしていたのはダルだったようだ。
「ん!おはよう!朝起きて初めてみるのが僕の美顔でよかったな!」
「そうですね。では準備をしましょうか。」
「…ひらりと躱すなぁ!」
朝の準備はまずご飯を食べる、魔力の確認か武器の手入れだけだ。それを終えたらすぐ探索だ。
「よしじゃあ行きますか!3階層へ!」
ヒューズは昨日あれだけ動いても1日休むだけで元気そうだ。まぁいうて僕も魔力は回復しているけども。
…3階層には邪神王の配下がいるらしいし、気を引き締めよう。
転移魔法陣を通り、3階層へと到着した。1階層は迷宮、2階層は洞窟、3階層は何やら研究所のようだった。
「ここは古代の研究所か何かでしょうか。…となると、あの機械兵も納得できます。ここから先は気を引き締めていきましょう。」
流石はルナさんだ。冷静に状況を把握している。ギルマスの名は伊達じゃない…ってところか。
僕たちは移動し始めた。とりあえず道なり…というか通路なりに。
「…カズトとやら。昨日は仲間のダルを助けてくれてありがとな。……それと…初日の態度は悪かった…本当にすまなかった。」
道中歩いていると、キーズが急に謝ってきた。僕としては少し意外だったのだが、それでも謝ってくれるなんて正直嬉しい。
「キーズさん、もう僕は気にしてないですよ。それに、ただの特別二等魔術師が一等クエストにいるなんて普通実力を疑いますよ。」
こうして仲間との信頼関係を気付きながらどんどん奥へと向かっていった。
道中は魔物なんていなく、ただ割れたカプセルがあったり、ショートしている謎の機械があったりとかしか無かった。
「…やけに静かですね。本当にダンジョンなんでしょうか。」
ムズリさんは少し不安げなようだ。まぁその気持ちも分かる。
プラスして僕は邪神王配下がいるかもというのでも恐れてるのだ。
「道中は安全な方がいいでしょう、ムズリ。…ですが流石に不気味ですね…」
「まぁギルマス、大丈夫だよ。僕たちにはカズトがいるし!」
何故かダルが誇らしげなような顔でそう言った。いや…僕攻撃魔術ほぼ使えないんだけど…
「…まぁ前衛は俺らがやるからよ。どんな敵が来ても倒してやるぜ。」
そう言ってヒューズは腕を上げていた。
…歩いて数分、謎の扉の前に来た。そんな大きいわけではないが、今まで見たことがないタイプの扉だ。
取っ手が無い。…もしや自動扉!?
「ここがダンジョンの最奥部でしょうか。このドアを開ければ地上への転移魔法陣があるのでしょう。では、行きますよ。」
そしてルナさんがドアを開けた瞬間、広い空間の真ん中に見覚えのある姿が見えた。
「…ん?客人か…我は誰も招待していないのだがな。」
──そこに居たのは、かつてクルシュを誘拐した『黒龍』、ダーマだった。
「ダーマ!また会ったな…今回こそ倒す…」
「カズト…あいつを知ってるの?」
ダルが僕の方を見てくる。少し不安そうだ。
「あぁ、よく知ってるよ。僕の因縁の相手だ。」
「笑わせてくれるわ。貴様が我のライバル??100年早いわ。」
「…ルナさん。あいつは邪神王の配下です。邪神王は分かりますね。」
そういうとルナさんは少し驚いたが、すぐ深呼吸をして冷静になったようだ。
「まさかあの邪神王…!!かつて世界を滅ぼしかけた…」
「全員に告げます。すぐさま戦闘態勢を整えて。あの男をここで倒しましょう。」
「「はい!!」」
「我が魔法を試す時が来たか。いい実験台となるがよい。」
ダーマとの戦闘がスタートした。僕たちは各自戦闘態勢を整えた。
「僕もとっておきを使おうかな。」
そういうとダルは呪文を唱え始めた。
「炎の精霊王、地を焼き、空を赤に染め、火ノ力を示す。我が剣よ、偉大であるその力を宿し、かの敵を灰になるまで燃やし尽くしたまえ。」
「魔剣流奥義、『フレイム•ノヴァ』!」
そういうと、ダルの持っていた剣がみるみると姿を変え、謎の魔剣へと変化した。
「僕に任せてお茶でも飲んでて、カズト。」
そういってダルはダーマに一直線に向かっていく。
「『演奏:加速』!」
少しでもダルをサポートしなければ。ダーマは強い。それも圧倒的に。
「少し遊んでやろう。矮小な人間よ。」
「その油断が命取りになるんだよ!!くらえ!」
ダルの剣がダーマに届く。───だがダーマは素手で剣を止めていた。
「まだまだ鍛錬不足だ。我はその程度の攻撃じゃかすり傷も負えんぞ。」
そう言ってダルを蹴り飛ばした。
ダーマは笑っている。余裕そうだ。魔法を使うまで無いってか。
「俺を忘れないでくれよ、邪神王の下僕とやら。」
隙をついてヒューズの攻撃がダーマの首筋目掛けて放たれる───がこれもまた避けられる。
「無視などしていない。ただ眼中に無いだけだ。」
そう言ってヒューズを投げ飛ばしてしまった。
「…もしかして森の時は手加減をしていたのか…?」
そう僕が言うとダーマが大きな声で笑い始めた。
「森の時は言ったではないか。『遊んでやる』と。現に今も我は破龍魔法を使っていないぞ。使ったら一瞬だからな。」
「…そう調子に乗らないでください!!」
そういうとルナさんが呪文を唱え始めた。
「月夜の光と闇、混合し相反する力、極大し、我が最ky…」
「呪文が長すぎる。詠唱省略できぬのか。」
そう言って一瞬の間にルナさんの近くにダーマが近づき、壁まで飛ばしてしまった。
「…さてあとは、剣士が1人、それと魔術師2人か。」
「あまり舐めるなよ。俺だって一等剣士だ。」
そう言って一瞬の間にキーズがダーマに近づく。───だが、カウンターを喰らって飛ばされてしまう。
「そうだな。貴様らの言う階級で言うなら我は特等だ。貴様らとは格が違うのだ。それに、生きている時間も違う。」
「……だが、1つだけ我が負ける可能性があるのだ。」
あのダーマが負ける可能性?それは何だ…
「その可能性とは…特別な魔法を持った者だ。貴様のような。」
「僕がお前に勝てる可能性?それなら話が早い。僕がお前を倒す。」
「なら我も、今回は全力で相手しよう。」
「『赤龍召喚』」
そうダーマが言ったあと出てきたのは、前回会った時とは違うドラゴンだった。
見た目は赤色、黄金の目も持っていて角は黒のドラゴンだ。
「『演奏:加速』」
「…行くぞ、ダーマ。」
「あぁ、来るが良い。」
こうして、僕とダーマの2度目の戦いが始まった。




