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異世界転移した音楽家、『音』で味方をバッファーする  作者: どらむ缶
第2楽章:王都編

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第11番『初見譜①』

 そしてついに約束のクエストの日がやってきた。そういえば集合場所は聞いていなかったな。まぁギルドに行けば分かるだろう。


「あらカズトさん。おはようございます。奇遇ですね。」


 ギルドに入った瞬間、聞き覚えのある声が聞こえてきた。そう、ルナさんだ。


「おはようございますルナさん、ちょうどルナさんを探そうと思っていたところです。」


「それなら良かった。私も今から集合場所へ向かうところなんです。一緒に行きませんか?」


 タイミングばっちりだ。ルナさんが集合場所へ向かうタイミングでちょうど会えるなんて。


「では、僕も一緒に行きます。」


 そして僕たちは集合場所へと移動し始めた。道中はただの世間話をして、ルナさんと仲を深めることにした。


「一昨日、魔道具店の店主さんからこの魔道具をプレゼントしていただいて、どうやらルナさんとお知り合いだったようで。」


「魔道具店の店主?あぁ、ルリね。私の唯一の幼馴染。ルリが商品をプレゼントなんて珍しい。普段はお金か魔法か私の事しか考えてないのに。」


 …ん?お金と魔法の事というところまでは分かる。"私"の事しかだって??まぁ幼馴染パワーってことで…


「そんな事話してるうちに着きましたよカズトさん。ここが今回のクエストのダンジョン、『不落の棲家』ですよ。」


 外の見た目はただの洞窟だ。……が、うっすら遠くに見えるのは頑丈そうな扉だった。まるで何かが封印されているような…


「おーギルマス!やっと来たか!…それとその横にいるのが噂の魔術師か!」


 そう言っているのは赤髪の何やら大きめの剣を担いでいる男性の剣士だ。


「そうよ、ヒューズ。彼はこの国でも珍しい支援術師よ。私たちにとって頼もしい味方となってくれるはず。」


 なるほど。この剣士の名前はヒューズというらしい。この人も一等なのか。

 他にも後3人、剣士と魔術師がいるが、談笑しているようで話しかけれない。


「僕実は初めてのクエストで、まだ勝手がわからないんですが…」


 そう。確かに僕は邪神王の配下と戦ったり、小型の魔獣の討伐などは村でやっていたが、これだけ大きなクエストは初めてなのである。

 僕にとってこのクエストは初見譜の譜読みと言ったところか。


「いいや魔術師さん。クエストってのは慣れだ。俺たちが今日は教えてやる。だからその代わり強化魔術は頼んだ。」


 意外とこのヒューズという大男はいい奴なのかもしれない。最初のイメージだけで少し怖そうに見えたが、大丈夫そうだ。


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名はヒューズ。一応こう見えても一等剣士だ。主に大剣を使う。今日はよろしくな。」


「では僕も自己紹介を。僕はトヅカカズト。音魔法という独自の魔法を使う特別二等魔術師です。ぜひカズトとお呼びください。」


 というわけでヒューズと知り合いになった。僕とルナさんで全員揃ったようで、早速ダンジョンに潜ることになった。


 洞窟の扉を開けるとそこは迷宮のようなダンジョンだった。まるでゲームだ。


「そういえばキーズたち自己紹介してなかったよね。カズトに自己紹介してあげて。」


 ルナさんがそういうと、また自己紹介が始まった。

 最初に話し出したのはスカーフのようなもので口を隠した黒髪センターパートのツリ目の剣士だった。


「俺の名前はキーズ。前衛役だ。言っておくが俺はまだただの特別二等魔術師がここにいるのを認めてはいない。どうせ無駄死にだ。」


 いや、流石にその言い方は無いんじゃないか。思っても空気を悪くしたくないから噛みつきはしないが。


「ちょっとキーズ。その言い方は無いよ。確か支援魔法が使えるんだろ。しかも強力な強化魔法と聞いた。それなら役に立たないわけが無い。」


 そう言って僕を少し守ってくれたのは、白髪ショートの少女だった。


「僕も自己紹介をしようかな。僕はダル。特別一等剣士だよ。僕はこの国でも数人しかいない魔剣流の使い手だ。よろしく。」


 ルナさんに聞いてみると、魔剣流というのは剣に魔法を乗せて攻撃するらしい。どうにも魔力の繊細なコントロールが必要らしく、二等剣士は疎か、一等剣士ですら出来ないような代物らしい。


「じゃあ最後、僕の自己紹介ですね。僕はムズリ。一等魔術師で、主に回復魔法を得意としているよ。」


 なるほど。このパーティーはバランスが良さそうだ。さすが一等といったところか。

  そして僕もヒューズにしたのと同じ自己紹介をした。


「自己紹介はこんなものね。……っと、前に魔物。ヒューズは合図と同時に飛び出して。それにキーズは合わせて、ダルは一旦待機。そしてカズト。音魔法を使ってあげて。……じゃあいくよ。Go!」


 そうルナさんが合図をした瞬間、前衛2人が同時に動き出した。


「『演奏(プレイ):強化(チアソン)!』」


 僕も応援歌を歌ってみた。これで少しでも強化されればいいが。


「なんだこれ…!体が軽い!これが音魔法か!すごいな!」


 ほんの一瞬で魔物が倒されてしまった。僕の魔法の効果も少しはあるだろうが、それよりも前衛自体が強いのもあるだろう。というかそれがほとんどの理由だろう。


「すごいなカズト!音魔法はあそこまで効果があるとは!」


 ヒューズは僕の音魔法を気に入ってくれたようだ。それは良かった。


「ありがとう、でもヒューズが強いからでもあると思う。」


「よし、じゃあこのままダンジョンの奥まで行こう。今日の目標は一階層制覇だ。」


 道中、ルナさんにこのダンジョンについて教えてもらった。

このダンジョンは迷宮で、1〜推定2階層まであるらしい。なぜ推定なのかというと、2階層を制覇した者は未だいないらしく、2階層で終わりなのかが分からないからだ。

 何しろ、このダンジョンは新しい方で、マップも何もまだ作られていないそう。


 そして、僕たちは道中の魔物を倒したりしながら1階層から2階層への転移魔法陣へとたどり着いた。

 今日はここで一旦休憩だそう。


 ダンジョンは、下に潜れば潜るほど強くなるのが定石だ。

 2階層は1階層よりも強い敵もいるだろう。となると、少し気を引き締めた方が良さそうだ。

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