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異世界転移した音楽家、『音』で味方をバッファーする  作者: どらむ缶
第2楽章:王都編

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第10番『冒険者』

 ギルドに用意された部屋は、意外にもよかった。 ベッドはフカフカだし、キッチン常備だし、壁も床も綺麗だし。

 唯一の欠点は狭いこと。机とキッチンとベッドが置いてあるだけで満杯だ。


 そして新しい部屋で一夜を過ごして次の日の朝、何やらコンコンとドアを叩かれる音が聞こえてきた。多分キルシュかな?


「はーい、今行きまーす」


ドアの方に近づき、ドアを開けてみたらーーーそこにはギルドマスターがいた。


「…え?ギ、ギルドマスター!?キルシュじゃなくて!?」


 そう僕が驚いていると、ギルドマスターはクスッと笑い、口を開けてくれた。


「おはようございます、カズトさん。ギルドの用意した部屋はどうでしたか?」


「もちろん最高でした。特にあのフカフカのベッドには驚かされました。それと、立ち話もあれなんで、どこか座って話せる場所ででも話しませんか。」


「確かに、そうですね。では応接室へでも。」


 僕らは応接室へと移動した。ソファ2つに机があるだけのただの応接室だ。


「では、本題に入りましょう。貴方には、とある一等クエストの攻略パーティーに加入してもらいます。」


 なるほど、一等クエストね。はいはい。………は?僕って特別二等魔術師だよね?一等クエストって昇級クエスト以外だと受けれないんじゃ?


「あの、僕って特別二等魔術師ですよね?それなら一等クエストは受けられないんじゃないんですか?」


 そういうとギルマスはにっこり笑ってこっちを見てきた。


「いえ、キルシュから聞きましたよ。貴方の『音魔法』、味方を強化できるらしいじゃないですか。

そのような魔法が使える魔術師は貴重なんですよ。なのでぜひパーティーに入って欲しくて。報酬も弾みますよ。」


 なるほど、悪い話ではない。経験値を積めるのはもちろん、一等冒険者だったら頼もしい味方だろうし、初クエストにはいいのかな。


「分かりました。一等クエスト、受けましょう。」


「ありがとうございます。それと、これから私のことはルナとお呼びください。別名『月夜の魔術師』とも呼ばれたりしますが。」


 へぇ、二つ名かぁ。なんかかっこいいな、そういうのって憧れてしまう。

 …でも待てよ……?二つ名があるほどの実力者って…


「まさかルナさんって、特等魔術師だったり?」


 そういうとまたさっきみたいな笑顔でこちらを見てきた。くそぅ、いい笑顔だ。


「そうですよ。今回の一等クエストにも参加します。でも私は特等の中でも弱い方ですよ。前衛がいないと戦えませんし。」


 でも特等なんて言ったら化け物と言っても過言ではない人たちではないのか?

 まぁ本当に化け物なんだとしたら次のクエストで分かるだろう。


「それでは、クエストの決行日は明後日です。それまでは体調に気をつけたり、装備を整えたりしてください。使ったお金はこちらが補填します。」


 そう言って会話が終わり、僕は応接室を後にした。よくよく考えたら無数の冒険者をまとめるギルドマスターなんてそりゃ強いに決まってるよな。


 うーんでも僕別に買うものも無いしな。僕の音魔法は杖を使わずにやるし。

 あ、でも魔道具は見てみたいな。よし、魔道具店に行ってみよう。


 早速魔道具店に行ってみた。見た目はただのモダンな店だ。

 中に入ってみると、よく分からない魔道具や魔術師用の杖が置いてある。店のカウンターには銀髪ロングのエルフ…?がいた。多分店主さんだろう。


「あら、お客さん?見た事ない顔ね。冒険者さん?」


「はい。昨日冒険者になりました。今日は魔道具を見に来ました。」


「なるほど。貴方の属性は何?それに合った魔道具を探してあげる。」


 そういうと店主さんは魔道具の棚の方へと向かい、魔道具を取り出し始めた。


「それがですね…僕、不思議な属性でして…」


「もしかして光とか闇?それならうちでも揃えてあるよ。」


「音です。」


 そういうと、店主さんの動きが止まった。まるで脳がフリーズしているみたいだ。


「え?もしかして貴方って特別二等魔術師?昨日ギルドに入ったっていう?」


 ……ん?僕のことを知っているのか?どこで聞いたんだろうか。


「そうですけど…どこでそれを聞いたんですか?」


「昨日の夜ルナから聞いたんだー。面白い子が入ったって。」


 え?この店主さん、ルナさんと知り合いなのか??しかも夜に会って話すような仲なんて…ただの知り合いでは無さそうだ。


「ルナさんと知り合いなんですか?店主さんは。」


「そうね。私とルナは幼馴染ってとこかしら。どう?ルナは可愛いでしょ?」


 えっ!?ルナさんと店主さんが幼馴染!?ってことはもしかすると…

 後、質問にはどう答えれば良いんだ…


「もしかしてルナさんってエルフなんですか?……それとルナさんは…まぁ可愛いというか美しいと思います…」


「そうでしょう!ルナはとっても可愛いのよ!それに強いしね!あと、ルナと私は両方エルフよ。エルフは魔力が多い種族だからね。ルナが特等魔術師まで上がれたのは、そのおかげもあるかも。」


 へぇ、エルフは魔力量が多いんだ。……それとこの店主さん、何か異様にルナさんのこと可愛いとか言ってない?まぁ否定はしないけど。


「まぁそれは置いといて魔道具ね。確か支援魔術師だったから…防御系の魔道具かな。…よし!これをあげる!!『防護のトーテム』!私から些細なプレゼントよ!」


「……えっ!いいんですか!ありがとうございます。」


 僕は店主さんにプレゼントを貰い、説明を軽くして貰ってから店を出た。


「…面白い店主さんだったな。」


 その後、僕は酒場に行ってみることにした。異世界の酒はあまり麦酒と変わらなかった。でも、久しぶりだからか美味しかったな。


 酒場を出た後は目的も無く城下町を散歩した。謎の勇者の像や西洋風の噴水広場など、散歩は楽しいものだった。


 散歩の後、僕は部屋に戻った。フカフカのベッドに早速ダイブ。

 一日中外出した後の足の疲れが今どっと来たな。明日はゆっくりして、明後日のクエストに備えよう…

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