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とらいあんぐる 〜俺と君とあの子の話〜  作者: おーろら


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33/35

言葉は儚い

~side:楓~


ヒカリの濡れた髪の毛を乾かしながら

ぼんやりと今日のことを思い出していた


大好きなアイドルに会えたこと

ちょっと言葉を交わせるだけで良いと思っていたのに

控室に行かせてもらい色々な交流ができたこと

まるで夢のような体験だった


「きょうは、とってもたのしかったー♪」

「そうだねぇ、みんな可愛かったね」

「うん!まこちゃん、ヒカリのことギュッとしてくれたのー」

「うんうん、見てたよ。性格良さそうで安心したよぉ」

「せいかく?」

「な、何でもないよ」

推しているメンバーの橙山まこるちゃんが、実際に会ってみても

元気はつらつで明るい思い描いてた通りの女の子で嬉しかった


実際に会ってみると性格が悪かった

なんてことは、よく聞く話なので

私とヒカリが推している まこちゃんが素敵な女の子でよかった

こんな機会を作ってくれた白川さんには感謝してもしきれない


白川さんは

『知り合いってだけです』

『ちょっと顔が利く程度』

『ファンの方々には申し訳ないですけど、身内特権ってことで』

と言っていたが、知り合いというよりは友達に近い感じだった

ユズハちゃん、ロアンヌちゃんも気兼ねなく白川さんと話していたし

ヒマワリちゃんに関しては、まるで恋する乙女のような瞳をしていた気がする

どんな関係なんだろう、、、


そんなことを考えていると

鼻歌を歌っていたヒカリは段々と

こっくりこっくりと前後に揺れ出した

眠たくなったのかな


「はーい、ちゃんと乾きましたっ」

「、、、あいが、、とぉ、、、」

「ふふふっ。歯磨きすませて、お布団行こうか」

「、、、うん」

今日は驚いたり、嬉しかったり色々あったから疲れてしまったのだろう

一緒に洗面所へ行き半分眠った状態のヒカリの歯を磨いてあげる

まだまだ手がかかるな、と思う反面いつまでもお世話を焼き続けたいと思う

最近は一人でできる事が増え、私の手伝いを率先してするようになった

成長していることについては素直に嬉しいけれど

あんまり手がかからなくなると、私が寂しい



歯磨きを終えて寝室に行くと

ヒカリは布団の上に横になると、すぐに寝息をたてた

ぷにぷにした頬っぺたをつつき、ちょっかいを出すが

何の反応もない

まだ今日の興奮が私にも残っているのだろう

誰かとまだ少し話をしたいけど

時計を見ると9時10分を過ぎており

今から誰かに電話をかけるのは気が引ける

ヒカリが話し相手になってくれたら良かったのだけれど

早々と眠ってしまったので

ちょっと寂しさを感じてしまっている


脱衣所に戻り髪の毛を乾かしていると

スマホの画面が光りLINEの通知が目に入った

トーク画面を開くと 《遥人さん》 の名前に新着マークがついている

画面に触れメッセージを開く


『今日はお疲れさまでした

 ヒカリちゃん、帰ってから大丈夫でしたか? 

 色々と驚かせてしまうこともあって、すいませんでした』


【今日はありがとうございました

 ヒカリも私も凄く楽しかったです

 みなラブの皆、とっても可愛くて幸せな時間でした

 お誘いしてもらって感謝しています

 ヒカリは楽しくてはしゃいでせいか、さっき寝ちゃいました】


『ヒカリちゃん楽しんでくれたみたいで良かったです

 佐野さんが作ってくれたお菓子、みんな喜んでました

 みんなのブログ見ましたか?写真にアップしてましたよ』


【えっ!そうなんですか?

 お菓子、喜んでもらえたみたいで嬉しいです

 食べ物の差し入れ、前もって白川さんに口添えして頂いてて助かりました】


『佐野さんにお伝えした使っちゃいけない食材リストは

 マネージャーさんから極秘案件で許可をもらってるので、内密にお願いしますね

 まこが佐野さんのお店教えてって言ってるんですけど

 教えても大丈夫ですか?あいつ、ちょっと騒がしいから迷惑だったら控えますけど』


【お伝えくださいっっ!ぜひともっ!!

 ご来店の際はご予約して頂ければ、プライバシーにも配慮しますっっ】


『ありがとうございます

 まこに伝えておきますね

 何人かで押しかけて迷惑かけたらすいません』


【大丈夫です

 むしろ歓迎です

 まこちゃん推しなのでウエルカムです】


『長々とLINEしちゃってごめんなさい

 またお店に行きますね

 佐野さんの料理、楽しみにしてます』


【いつでも遊びに来てください

 私もヒカリも白川さんに会えるのを楽しみにしてます】


スマホをそっとテーブルに置いた

気付けば時計の針は10時を回っており

静かになった部屋の中には

ヒカリの寝息が小さく響いている

ドライヤーの途中だった髪の毛は

自然に乾き少しパサついてしまったが

気持ちは妙に軽かった


なんてことないLINEのやりとり

それが、なんだか嬉しくて少しくすぐったい


もっと話してみたいな

もっと色々と聞きたいことあるのにな



「また、会いたいな」



言葉は儚く、夜に溶けて消えた

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