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とらいあんぐる 〜俺と君とあの子の話〜  作者: おーろら


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32/35

控え室にて

~side:遥人~


ヒマワリの頭を撫でること数十秒

ようやく満足したのか

コホン、と咳払いをして俺達に向き直った


「ごめんなさい、ゆっくりと時間作れなくて。あと10分ほどでブースに行かなきゃなの」

「相変わらず忙しそうだな。こうやって時間作ってくれて感謝しかないよ」

「遥人さんのお願いが最優先♪」

間髪置かずに答えるヒマワリの目が座っている

ユズとロアが佐野さん親子、上村さん親子と交流をしてくれておりヒマワリの失態をカバーしてくれている

佐野さんの視線がチラチラとこっちに向いている気がするが

気のせいだろう


「ありがとう、でもファンの人に悪いよ。ズルしちゃって」

「良いんです。ファンの皆には、ちゃんと全力で応えてるから」

「そっか。最近、動き始めの時に少しテンポ遅れてるみたいだけど。左足の調子悪いんだろ?無理してないか?」

「、、、なんでバレちゃうかなぁ。誰も気づいてないと思ったのに」

「何年お前のこと見てると思ってるんだよ」

「うふふっ♪」

「な、なんだよ」


満面の笑みで抱き着ことするヒマワリと俺の間に

佐野さんがグイッと入ってきた


「え、えっと!ヒマワリさん、これ良かったら皆で食べてください!」

大きな包みを両手で差出し

その手はプルプルと震えている


ヒマワリが残念そうに身を引き俺に目配せをしたが

『もらってあげて』と口パクで伝える


「ありがとうございます。これ、開けてみて良いですか?」

「は、はい!口に合うかわかりませんけど!」

「みんな甘いもの好きなんで、きっと喜ぶと思います」

丁寧に包装を開けて中身が見えてくると

ユズとロアも中身が気になったようで近づいてきた


「佐野さんは喫茶店のオーナーでさ、料理とお菓子作りが得意なんだって」

「わたし、甘いのだーい好き」

「見せて見せて♪」

俺が説明するとヒマワリの横に並びユズとロアの3人が包みを囲む

露わになった中身を見て目を輝かせた


「「「キャー♡」」」

そこにはデコレーションされた焼き菓子

タルトやアップルパイ、クッキーなどが綺麗に並んでいた


見た感じだと10個ほどの数で

メンバー分の差し入れを持ってきたのだろう


「美味しそぉー!これ、佐野さんの手作りですか?」

「はいっ!お口に合えば良いんですけど、、、」

「すっごく美味しそう♪でも、差し入れは基本NGなんです、、、」

佐野さんの差し入れに一喜一憂するヒマワリたちに俺が助け船を出す



「藍沢さんには俺から話は通してる。みんなで食べてオッケーだってさ」

俺も前に差し入れを持ってきて断られてしまった経験があったので

事前にマネージャーである藍沢さんに確認するようにしている


今回もメンバー全員分の好き嫌いやアレルギーなどの情報を許可をもらって佐野さんに伝えているので問題ない

痛みやすい素材や食中毒のリスクのあるものは徹底して除いているという佐野さんの本気ぶりを昨日から何度もLINEのやりとりを通して感じている


「ありがとぉー佐野さーん♡」

ロアが佐野さんに抱きつき喜びを伝えると

佐野さんはピシッ、と固まり目が見開いている


「み、みなさんの好みを聞かせてもらって作ったので、はい!」

驚きと緊張で声が上擦っており

ロアに抱きつかれた佐野さんは、みるみるうちに顔が赤くなってしまっている

普段の佐野さんと違う一面が見れて嬉しいので、そのままにしておこう


佐野さんの差し入れをヒマワリとロアはスマホで撮影している

顔の横に持ち上げて自撮りしたりしている

SNSにアップしたりするのだろうか

一方でユズは美味しそうにアップルパイを頬張っている

藍沢さんが楽しそうに写真を撮っていた


「ユズ、2つめはダメだぞ」

「えっ、えっと、あははっ」

「このあとファンに会うんだろ?口元ベタベタじゃ失礼だろうが」

他のメンバーへの差し入れ分まで手を出そうとしていたユズを静止し

口元についたアップルパイのソースをハンカチで拭いてあげる


「すいませーん!時間です!みなさん、スタンバイお願いします!」

スタッフさんの声が室内に響き渡り

ヒマワリ、ユズ、ロアの表情が一瞬で切り替わる

緩かった顔が整い、まるでスイッチが入ったように目に輝きと力強さが灯るのを感じた


「遥人さん、佐野さん、私達行ってきますね」

「あぁ、今日はありがとうな」

「あ、ありがとうございます!お時間とって頂いて!応援してます!」

「ふふっ。また、連絡します遥人さん。ヒカリちゃん、ここあちゃん、せっかくだから楽しんでね♪」


ロアと喋っていたヒカリちゃん、ここあちゃんにも声をかけヒマワリ達はスタッフさんに誘導されて会議室を後にした

去り際の投げキッスは、きっと俺に向けられたものではないだろう



さぁ、お礼を言って帰ろうか

と思っていたのだが藍沢さんから呼び止められ

まだ他のメンバーにも会ってくださいとお願いされた


いやいや、お願いされる立場ではないのだが

佐野さん達に確認すると


是非!

良いの?もちろん会いたい!

会いたいです!

おはなししたい!!


と全員から賛同をもらうことができ

交代で休憩に入るメンバーに会うことができた

ナギサと紫野カノンは雑誌の取材中との事で会うことが出来なかったが

また会う機会があるだろう


その後は、他のメンバーも

3人と同様に賑やかで明るく、慌ただしくも色々と話すことができ

とても楽しい時間を過ごした

テレビやYouTubeで見る本人達のキャラとは違った一面にヒカリちゃんらここあちゃんは少し戸惑っていたようだったけど

話しているうちに底抜けに明るい彼女達の人柄に触れ、打ち解けているようだった



そんな皆のやりとりを見ながら

今日は来て良かったな、と思っていると夏希さんから声をかけられる


「遥人くん、あなた凄いのね」

「凄い?何がですか?」

「みなラブの皆と、普通に話してるじゃない」

「あぁ、ちょっと縁があってですね。それに凄いのは俺じゃなくて、みなラブの皆んなですよ」

「最初は嬉しくてびっくりして、舞い上がってたけどさ。すごい状況にいるんだなって、今更思ってきた」

「好きな芸能人が目の前にいたら誰だって舞い上がりますよ」

「ふふっ。そうね、ありがとう」

ここあちゃんを見つめながら優しく笑う


夏希さんも佐野さんも、みなラブのことが本当に好きなんだろう

この控え室に来てから緊張と困惑の波が押し寄せてきていたみたいだけど、少し慣れてきたみたいで楽しむ余裕も今は見られる


「それにさ、メンバー1人1人に何かアドバイスみたいなのしてたでしょ。あれって何?」

「あー、見てたんですね、夏希さん、、」

あんまり公にしたくはないので誤魔化すことにした


「仕事柄、ちょっと体のこととか心配で声かけちゃうんですよ」

「へぇー、見ただけでわかるものなんだね」

「まぁ、リハビリ職やってたら誰でも分かるレベルのことです」

「そういうものなの?凄いんだね、リハビリの先生って」

「そんな大したもんじゃないですよ。普通です、普通」


その後も夏希さんとは他愛無い会話を少しだけして

藍沢さんから全員出場イベントの声がかかり、メンバー達との交流は名残惜しくもお開きとなった


佐野さんは

「可愛かった、、、皆んな、喜んでくれた、、、」

と放心状態になっていた


ヒカリちゃん、ここあちゃんは2人で手を握り合いキャーキャーと喜んでおり

俺と夏希さんはスタッフ皆さんにお礼を言いながら控え室を後にした


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