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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1

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シルフと一緒


シルフは私の中に戻る事は無く私の周りを飛んでいた。


飛んでいると言うより漂っていると言った方が近い様な

そんな雰囲気でパタパタフワフワと付いて来ていた。


一応シルフにも結界を掛けたけれど当のシルフは

「必要ないよ~」と笑っている。


自分が瘴気に侵されて封印されていたのを

まるで忘れている様だったので一応知らんふりしておいた。


そして戦闘が始まると私の『浄化』に合わせる様に

風魔法を使って攻撃をしていたが

その攻撃力は体に似合わずかなり強力で

上空に居るワイバーンを簡単に切り裂いていた。


私はそれを見てすっかり驚いて

思わずワイバーンの死骸に駆け寄ってしまった。


こんなに傷だらけで買取価格が下がってしまったらどうしよう。


私はその思いで頭が一杯だったため

シルフが自慢げに胸を張っているのに気が付かなかったのだ。


「どうして褒めてくれないのぉ~」

シルフは不満気にプンプンしていたが

それに構っている余裕も無く買取価格を確かめていた。


案の定私が浄化したワイバーンは150万と高額だったが

シルフが傷だらけに切り裂いたワイバーンは55万円と

随分と価格が下がってしまっていた。


思わず眩暈がしてシルフが手伝ってくれた事が

有難い様な有難くないような複雑な心境だった。


正直言って一円でも買取価格は高く保ちたい

私はその思いをシルフにどう伝えたら良い物か悩んだが

すべてをきちんと伝える事にした。


拠点を作るためにお金を貯めている事

等価交換様と言う私の特殊なスキルが

倒した魔物を買い取ってくれる事

そしてシルフの攻撃で魔物を傷だらけにしてしまうと

魔物の買取価格が下がってしまう事

そうなると私の夢と目標が遠のいてしまう事

丁寧に説明するとシルフも分かってくれた様で

「傷だらけにしない様に気を付ける~」と

戦闘に加わる事を諦める様子はまったく無いので

少し不安は残ったがそれ以上をシルフには何も言えず

諦めてまた一緒に行動を始めた。


まぁいいか。


せっかくシルフがやる気になっているのに

それを邪魔するのも大人気ないし、

思えば買取価格が下がろうと

こうして一緒に戦えるメリットはちゃんとある。


戦闘に時間が掛からない分早く進める様になったし

何より殺伐としたこの魔界の森で独りじゃないと言う思い

それが楽しく歩みを進めていられる。


そう、一人で5千万円貯めるまでの長かった時間と

その辛さを思い返したら気持ちを明るくしてくれるシルフの存在は

私のモチベーションを維持する上で雲泥の差がある。


私はそう思い直しシルフに感謝する事にして

もうこれ以上何も言わない事にした。


そして迎えた次の戦闘で私は呆気にとられた。


シルフは風の刃の一撃で魔物の首を切り落としていた

ものの見事に綺麗にスパッと。


勿論買取価格にはまったく変動は無く高値で買い取られ

今度こそどうだと自慢気に胸を張るシルフを

凄い凄いと褒めちぎってしまった。


本当に凄いよ流石大精霊シルフだよと本気で思った。


それからは私は範囲浄化で浄化を優先しながら進み

それで倒されない魔物はシルフが倒してくれて

かなりサクサクと魔界の森を進む事が出来る様になっていた。


食事も私と一緒に食べたがったが

シルフは野菜は食べても肉は食べたがらない事が多く

スウィーツや果物を喜んで食べていた。


飲み物は紅茶が好みの様でコーヒーは吹き出して嫌がった。


夜は私がベットを取り出すとシルフは私の中に入って寝たり

または私の隣で布団に包まって寝たりと

その日によって気分が変わる様だった。


すっかりと慣れてしまったかのようなこの魔界の森の環境

魔物だらけのジュラシックワールドの世界

そして逃げていると言う事実を忘れ

私はシルフのお陰で賑やかになった毎日を楽しみながら

魔物の討伐を続け等価交換様のレベルアップを目指していた。



読んでくださりありがとうございます。

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