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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1
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私は諦めない


地図を開いて今どこに居るのか正確な位置が分かれば

どの位進んだのか目標まであとどの位なのか判断出来るのに

景色があまり変わらずにただ森の中を進むだけなので

気持ちがダレてしまう事が多くなった。


範囲浄化で結構サクサク進める様になったからか

それともここの魔物に慣れてしまったせいか

下手すると倒すたびに頭に金額が浮かんだりして

魔物討伐と言うよりゲームをしている感覚になっている気がする。


油断をしたら命取りの魔界の森だと時折自分に言い聞かせるが、

誰に出会うでもなく只々浄化魔法を念じながら進むだけの日々に

そろそろ変化が欲しくなっていた。


とは言っても、

恐怖を覚える程の強い魔物の登場なんて望んでないし

何か新しいちょっとした目標と言うか、

目新しい技術の習得だとかそんな感じの出来事が欲しい。


所謂日常に起こりえるちょっとした事件の勃発だとか、

新しい出会いだとかそんな感じの事が起こって欲しい。


そう私ははっきり言って刺激が欲しいのだ。


そう言えばお風呂に入りたいと言う野望はまだ叶えていない。


昔見たテレビでドラム缶風呂なんてのをやってたけれど、

あれだったらどうにかなりそうな気がする。


そう考えたらやはり一刻も早く水辺に辿り着かなければ、

私は新たに気を引き締めて歩き出す。


そうして何日経ったのか微かに水の流れる音が聞こえて来た。


目標にしていた川辺に近づいたに違いない、

私はそう確信して気合を入れて歩みを速めた。


水音が大きくなるにつれ私の胸も高鳴ってくる。


いよいよ拠点づくりを開始できるのかと思うと気分も上がる。


そして辿り着いたそこで目にしたのは、

間違っても小川とは呼べない流れの速い大きな河だった。


長閑に釣りでもとか

水辺で洗濯でもなどと言う光景は想像も出来ない急流。


それも流れに瘴気が混じっているらしく、

水に黒い色が流れているのが目で見て分かる。


こうして魚達も魔物と化して行くのかと思わせる流れだった。


上流に何か穢れの元があるのか?


何にしてもこの川辺には私の望む拠点は作れない。


考えてみたら地図に乗るくらいの川なのだから

長閑な小川のはずが無かった。


自然豊かな渓流を考えていた自分の期待は見事に裏切られ

とてもがっかりはしたが、

上流に移動したら私の望む場所が見つけられるかも知れない

そう考え直し、まだ希望は捨てず上流を目指す事にした。


上流に行けば確か湖もあったはず。


その辺りなら静かな水辺が望めるかもしれない。


少し高台になってしまうけれど、

それだって拠点づくりには返って好立地条件かも知れないし

そうだよこんな事で私は諦めない。


ゆっくりのんびり怠惰な引き籠り生活を満喫する私の目標

そう生活費はポーション作って稼いで

この世界でオール電化の家で何不自由なく暮らす毎日

その想像だけでもまだ頑張れる。


こんな所で立ち止まってなんていられない、

私は即座に方向を変え上流目指して歩き始めた。



読んでくださりありがとうございます。

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