絶対にだ!
すっかりと明るくなった森の中を変わらずに足早に進み
そうして漸く森を抜けると左手に山脈が見えた。
大小の高い山々が連なっていて雄大な風景だった。
しかし森を抜けたそこはすっかりと荒れ果てた様な土地だった。
枯れているのではなく私の背丈ほどもある草が生い茂り
まるでずっと放置されている空き地の様だった。
足元が見えないと言うのは本当に不安で怖い。
私は迷わず充電式の電動草刈り機を購入して
足元の草を刈りながら歩みを進めた。
試に刈った草を等価交換様に収納したら
結構な高額で買い取ってくれたので
これも薬草かと思ったら違ったらしいが
高値が付くと言う事は何かの素材となるのだろうと
刈っては収納して売り捌くを繰り返して進んだ。
そうして草刈り機の充電が無くなり
新しいのを購入しようかどうしようか悩んでいると
ソーラーパネル付きの蓄電も充電も出来るポータブル電源を
等価交換様が進めてくれた。
コンセントも使えてとっても便利な物だったので
私は迷わずに買ってしまった。
そして充電中は休憩をして魔法の練習をして
充電が満タンになったらまた草を刈りながら移動して行った。
魔物と呼べるのは今の所ヘビ位で
突然飛び掛かって来るのには毎回驚かされるが
結界も張ってあるし『浄化』で簡単に倒せるので
何も怖くは無かった。
振り向くと私の通って来た場所が道の様になっていて
明らかに誰かが通ったと知らせている様で気になったが
この広い荒れ地の草をすべて刈る訳にも行かないので
そこは気にしない事にした。
それにしてもポータブル電源はマジ有能だった。
LEDライトも搭載されていて夜の灯りに困らなくなった。
天気さえ良ければ電気に困る事が無くなったので
この際他にも電化製品を追加してしまおうかと思ったが
増やし始めたら際限が無くなる気がして止めた。
すべてはオール電化の家を建ててからだ。
それまでは我慢我慢、お金を貯めるのが先決と自分に言い聞かせ
草を刈っては売り捌くを繰り返しながらひたすら進んだ。
そして漸く見え始める魔界の森
説明されなくても分かるその様子は沸き立つ瘴気がここからでも見える様で
暗く鬱蒼としたその雰囲気はまさに魔界の森の名に相応しく
近づくのも恐ろし気でサマサさん達が止めたのも分かる
そんな感じの森だった。
私はあの森に入れるのだろうか?
あの森に拠点を作れるのだろうか?
凄く恐ろしい物に挑む様な恐怖が今更ながらに沸いてきた。
やっぱり諦めてカルザックに向かおうか
そこで大人しく聖女である事を隠し生活しようか
しかしそうなるとオール電化の快適引き籠り生活は諦める事になる。
そんな事がこの先我慢できるか?
絶対に無理!!!
たとえばオール電化の家を諦めたとしても
この世界の不便には我慢できずにきっとあれこれと購入してしまう
それだけ等価交換様は便利で有能なのだから。
何日か一緒に過ごしたサマサさん達にも
簡単に等価交換様がバレてねだられたくらいなのだから
この先絶対に秘密になんて出来るはずも無く何処かでバレて
等価交換様の有能さを利用しようとする人が増え
そして私の快適生活は絶対に破綻する事になるのだ。
そうしたらまた何処かへ逃げてを繰り返す生活になるだろう
そんな事が一生続くなんてやっぱり絶対に無理。
せめて誰にも干渉されない場所の確保その為には
私は絶対にあの魔界の森に打ち勝って見せる。
そう絶対にだ。
気持ちを強く持ち直し精一杯目一杯自分を鼓舞していた。
読んでくださりありがとうございます。




