交渉1
「藍姉。下がってて。ここは俺がするから」
「・・・。分かった」
『なぜお主等がここにおる。ここに居て良いのはわらわとアイツだけじゃ』
それはとてつもなく強い威圧だった。
遠くにいた藍でさえ、気を持つのが精いっぱいなぐらいに。
この威圧を普通の人間が食らったら、良くて気絶、悪くて死亡だ。
しかし、雫は平然な顔でそこに居た。
まるで、何度もその威圧を感じたことがある様に。
『ほう。わらわの威圧を受けてもなお冷静を保っていられるとは』
「お褒めの言葉ありがとうございます。魔王様」
『言葉遣いがなっておるではないか。にして、其方。名をなんと申す』
「わたくし、クリスというものであります」
『そうか。さて、クリス、其方はなぜここにこれた?わらわの最高の幹部たちを27、28、29階層に配置しておったが。まさか、あいつらを倒したとでもいうまいな?』
ハイ。倒してます。
一瞬で倒しました。
え?弱すぎない?って思うくらい弱かったです。
貴方たちの幹部。
あれじゃぁ邪神なんて倒せませんよ
でもここで倒したって言ったら交渉はうまくいかない。
魔王は、いくら相手が強かろうと自分のお気に入りの相手ではないと協力しないから
「いいえ。わたくしにはあんなお強いお方、倒すにも値いたしませんわ。わたくし、ただ抜け道を通っただけのことでございます」
『ほう、あの抜け道を見つけたというのか!それは面白いな!』
「魔王様、今から、青いハーブの紅茶でもお飲みになりませんこと?」
青いハーブの紅茶。
それは、魔王軍に伝わる隠語だ。
あなたが今一番欲しいものを私は持っています。だから、私に協力してくれませんか?
という意味を持っている。
そう。私は魔王が今一番欲しがっているものを持っている。
それは、ライカ病の治療薬だ。
魔王は今ライカ病にかかっている。
衰弱しているのだ。
つまり、魔王がライカ病にかかっていなかったら、人類滅亡まっしぐらだね
『‼?』
『それは誠か。クリスよ』
「ええ。誠でございます。魔王様」
「クリス、わらわについてこい」
「承知しましたわ」




