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第二十一話 監獄踏破

前回のあらすじ


 クエスト『監獄踏破』のラスボスにあたる【看守長:オーククイーン】と対面した社たち。

 不気味なオーククイーンの台詞をはねのけながら戦闘に望むが、彼らの攻撃はオーククイーンの纏う赤銅色の鎧に阻まれて通らないようだ。

「社さん! 鎧もうちょっとで全部落とせます!」

「よーし、このまま押しきるぞ!」


 オーククイーンとの戦闘を始めてから約一時間。

 それが、俺たちが赤銅色の鎧を剥ぐのに費やした時間だった。

 幸いなことに戦闘中にオークが追加されることもなく、またオークの攻撃も単調かつ大振りで避けることも容易だったために、俺たち四人で袋叩きのように攻撃を入れることができた。

 ダンジョンの奥にいるラスボスにしては少々弱い気もするが、本人(本オーク?)の話を信じるなら、人間(NPC)を奴隷として捕らえるまではオーククイーンが女王アリのような役割をこなしていたらしいし、それを考えるとこの戦闘慣れしていない姿も自然だろう。

 そもそもの役割が違うのだ。


「あと3……2……社さん、ラストです!」

「よーし。【ストライク】」


 心臓を守るように残された鎧部分に体重の乗った拳を入れる。

 これでオーククイーンのダメージを肩代わりしていた鎧はすべて外したことになる。

 攻撃を当てて着ているものを脱がせる、なんて言ってしまえば、R-18に指定されるゲームのようにも思われるかもしれないが、今俺たちが体感している雰囲気はそんなお気楽さを微塵も感じさせることがないくらい暗いものだった。

 

『ヴゥゥゥ……』

『ヴアァァ……アアアァァァァ……』

『ヴアアアァァァアアアァァァァアアアアァァァァ…………………』


 オーククイーンの咆哮が周囲に反響する。

 いや、うずくまって全身を掻き毟るその姿は、“咆哮”というよりむしろ“慟哭”と言い表すのが正確だろう。


『貴様が……貴様が、貴様が貴様が貴様が貴様が! ……貴様が、私の……私の子ども達を……』


 慟哭がすすり泣きに変わり、俺たちを責めるような声が聞こえてくる。

 最初と比べてはるかに流暢になった言葉。

 その変化が何を意味しているのかは分からないが、とてもただのゲーム内のキャラクターとは思えなかった。

 俺以外の三人もなんともいえない表情を浮かべて目をそらしている。


『……ろせ。殺してくれ。貴様が私の子どもたちを殺したように、私も早く。殺してくれ』


 まだ戦闘終了を伝えるアナウンスは鳴っていない。

 目の前のオーククイーンが言うように、こいつを倒さないといけないのだろう。

 ……正直、とてもやりづらいけど。


「なぁ、社君。ここは私が……」

「キリツさん。俺がやりますよ」

「いや、しかし……」

「俺がやります」


 キリツさんが名乗りを上げたのは、この妙に芽生えた罪悪感のようなものを引き受けようとしてくれたからだろう。

 まだ子どもである俺より、少し大人の自分の方が適任だと、そう思ってくれたのかもしれない。

 だが、キリツさんの明かに気力を削がれた声を聞いては、「はいそうですか」と甘えることができない。


「……それじゃあ、オーククイーン。とどめだ」


 自分に【腕力強化】をかける。

 そして、そのまま腕を引く。

 オーククイーンは無抵抗にうなだれ、地面を見つめている。

 これなら外すことはないだろう。


「ストライク」


 オーククイーンは青白い光を纏う拳をその頭蓋で受け止め、すぐに他のオークと同様に霧のように散っていった。


Enemy Clear!

「レベル上昇 14→17 、SP+9、 ステータス上昇各+15 ボーナスポイント+9」

「武器レベル上昇《素手》22→25 Str/Kep+9、SP+6」

「スキルレベル上昇【ストライク】13→15 ダメージ上昇:Str値の270%、スキルレベル上昇【クラッシュ】16→17 ダメージ上昇:Str+Kep値の230% 、スキルレベル上昇【腕力強化Ⅰ】11→13、効果上昇:Str/Kep上昇+70%」


 戦闘終了のアナウンスとともに、場に張り詰めていた緊張感が消えたような気がした。

 後味は、あまり良いとはいえないけど。


「え、えーと。帰りましょうか!」

「そうね。こんなところとっととおさらばしましょ」

「あぁ、早く日の光が浴びたいな」


 梢の空元気のおかげで少し場が和む。

 こういう妙にモヤモヤした雰囲気の中で、それを壊せるくらいの元気を出せるというのが梢の強みの一つなんだと感じた。


「ほらほら、社さん! あそこに明かにワープできそうな、緑色に光った台がありますよ!」


 さっきまでとは大違いのゲーム的なシステムに安堵する。

 やっぱりちゃんとここはゲームの中なんだ。

 さっきまでのはきっと、シナリオライターが頑張りすぎた結果なんだろう。

 そう思っておくことにする。


「地上に出たら、一度【始まりの町】まで戻りましょう。美味しいご飯を出してるお店を教えてあげる!」

「えっ、このゲームって食事なんかもできるんですか?」

「あら、梢ちゃんたちって薬草食べたことないの?」

「あぁ、そっか……確かに食べてましたね」

「お菓子とかご飯とかを提供してくれるNPCももちろんいるけど、おすすめはやっぱり料理系のスキルを持ったプレイヤーが出す料理ね。あれは格別よ」

「うむ、梢君たちも一度食べたら病み付きになることだろうね」


 梢たちが楽しそうなトークに花を咲かせている。

 やっぱりパーティーを組んでよかったな。

 きっと、俺と梢の二人っきりだったら、もっと重い空気のままだっただろう。


「ほらほら、社さん! 置いていきますよ!」

「えっ、おい! ちょっと待てって!」


 こうして、俺たちの始めてのクエストは幕を閉じたのだった。



Quest finish!

「クエスト『監獄踏破』を終了します」



(ヤシロ)レベル17


装備

装備(頭部):深緑(しんりょく)の眼鏡

Def+1

装備(胴):カッターシャツ(白)

Res+1

装備(上):スーツ/ジャケット(黒)

Def+1

装備(装飾):ネクタイ(紺)

Res+1

装備(装飾):錨マークのタイピン(金/紺)

Spe+1

装備(手):指貫グローブ(黒)

Str+1 Kep+1 

装備(装飾): アルトラのブレスレット

ナビゲーションキャラクター アルトラと話せる。

装備(下):スーツ/スラックス(黒)

Def+1

装備(靴):革靴(黒)

Spe+2


ステータス()内は装備による加算。

Str:162(+1)

Kep:110(+1)

Def:90 (+3)

Mag:80

Res:90 (+2)

Spe:126(+3)


武器:素手 レベル25 Str/Kep +72

スキル:

【WA:ストライク】レベル15

武器《素手》の専用スキル。拳に力を込めて相手を撃ち抜け!

Str値の270%のダメージを与える。

【WA:クラッシュ】レベル17

武器《素手》の専用スキル。貴様の手で砕けぬものはない!

Str+Kep値の230%のダメージを、手で掴んでいるものに与える。

【WA:インファイト】

武器《素手》の専用スキル。防御?そんなものは棄てて相手の懐に潜り込め!

相手との距離を0にする。

【AS:腕力強化Ⅰ】レベル13

Str/Kep上昇+70%

【AS:リフト&キャリー】

自身の限界まで力を使いきったからこそ得られた技術(スキル)

人や物、モンスターなどを持ち上げ、運ぶ際に必要となるStr/Kep値を半分にできる。

【PS:不屈】

行動阻害系のスキル無効。Res上昇+5%


SP:95

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