表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処刑された公爵令嬢は竜となって蘇る(※復讐は竜をも狂わせます)  作者: ゆうらり薄暮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/74

後日談 午後のティータイム



 巣は今日も穏やかだった。


 泉の水は変わらず落ち。

 結界の灯は妖精たちが勝手に磨き。

 巣の前には小さな石卓が置かれている。


 竜の巣にしては、ずいぶん生活感がある。


 その石卓の前で、シャルルが真剣な顔をしていた。


「今日はちゃんと淹れる」


「前もそう言っていたわ」


 ヴィーラは翼を半分だけ畳みながら言う。


 彼女は人型だが、完全には隠さない。

 気分だ。


 妖精が三匹、石卓の縁に腰かけている。

 ひとりは砂糖を抱え。

 ひとりは花びらを運び。

 ひとりはカップの縁でくるくる回っている。


「やめなさい」


 ヴィーラが低く言うと、妖精はぴたりと止まる。


「お前ら、今日の主役は俺だからな」


 シャルルは茶葉を慎重に注ぐ。

 千年経っても、彼はこういう時だけ妙に真面目だ。


「番に茶を淹れるのは人間の作法だろ」


「そう」


「俺は元人間代表」


「勝手に代表を名乗らないで」


 ヴィーラは淡く笑う。


 その笑いは、もう破壊の前触れではない。

 ただの機嫌だ。


 湯気が立つ。

 谷の風に乗って、花の香りが混じる。


 シャルルが差し出す。


「どうだ」


 ヴィーラは一口。


 目を細める。


「……悪くないわ」


「悪くない、は合格か?」


「一年経ってようやくね」


 妖精たちが小さく拍手する。


 シャルルは胸を張る。


「進化してるだろ」


「人間の寿命は進化で伸びるのかしら」


「半竜だからな」


「便利ね」


 そう言いながら、ヴィーラは翼の先でシャルルの膝を軽く叩いた。

 

 ほんの一年前の彼女はこんな時間を持てるだなんて想像しなかっただろう。


 今は。


 茶の湯気と。

 番の呼吸と。

 妖精の羽音だけだ。


 それで、十分だった。


読んでくださり、ありがとうございました。

もし少しでも楽しんでいただけましたら⭐︎やブクマで応援していただけると嬉しいです。


☆☆☆☆☆→★★★★★ (*_ _)人


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ