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学校と僕。  作者: 奏良
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次の日の授業は、全然聞いていなかった。

頭に響くのは、泰葉の声だけ。

ヒトゴロシ

闇の中に連れて行かれそうな気がして、僕は顔を伏せる。


「本当に・・・馬鹿なんだから・・・」


通り過ぎる間際に泰葉が言った一言。

それはどういう意味なのだろうか?

僕は考えることも、何も出来ずにただ繰り返して頭に響く声を聞いていた。


「ちょっと、梶谷君?」

「え?」

放課後、生徒会室でもボーっとしてしまっていたらしく、中田が怪訝な顔をして覗き込んでいる。

「これ、予算案の資料だから、見通しつけといて」

「あ・・・あぁ・・・」

僕はぼんやりとした頭で資料を受け取った。

パソコンに向き直り、キーボードを叩くも、指が上がらない。

「・・・」

参ったな・・・これじゃ仕事にならないや・・・

そう思ってるのに、体は言うことを聞かない。

頭の中では、グワングワンという音とともに、また泰葉の声が聞こえてくる。

「ヒトゴロシ」

「本当に・・・馬鹿なんだから・・・」

両方の言葉がぐるぐると回っている。

「おい・・・瀬斗?」

「へ?あ、ごめん」

急に目の前に佐崎が出てきて、僕は反射的に謝った。

「・・・ダイジョウブか?さっきから変だけど・・・」

「うん、ダイジョウブだから、全然平気」

僕はそう答えてパソコンに目を戻した。

あれ?

パソコンの画面が陽炎のようにゆらゆら揺れている。

佐崎の顔も同じだ。

それだけじゃない、部屋のもの全部が陽炎のようだ。

あぁ、これがめまいなんだな。

そう直感で感じた直後、目の前が真っ暗になった。


「本当に・・・馬鹿なんだから・・・」

聞こえてきたのは、その言葉だけだった。

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