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10.占いを見てみる話(お礼の小話)



「ルクス様。それ、早く目を通して、お返しになられては?」

「私もそうしたいのは山々なのですが、こういった書物は、読み進めるのが難しく…………論文であれば、読みやすいのですがね」

「普通は逆だと思いますけど」



とある日の休憩中。


そんな会話をしているルクスとジュネに、私は首を傾げた。


ルクスは応接用の机に積み上げられていた厚みの無い本を手に取った。


「ルクス、それは何?」

「えぇと、他国の協会長から押し付けられた、占いの本です」

「占い?何それ」

「その、私にもよく分からないのですが、その人の未来の出来事を予測して、忠告をするもの、でしょうか」

「未来を予測?」

「はい。ですが、不確定要素が多く、大抵は無関係な忠告となりますが…………」

「へぇ。それ、意味があるのかな?」

「どうなのでしょうか。気になる人は多いようですが」

「それで、それは?」

「はい、他国の協会長たちから、またにはこのような市井の本も読むべきだと、押し付けられたのです」

「見てみたい」

「分かりました。それでは、神聖国のものから…………」


ルクスは厚みの無い本の中から、一冊の小冊子のようなものを取り出した。


「神聖国では、占い本というより、神殿からのお触れという形で、教訓のようなものを季節ごとに小冊子にして、配布しています。例えば、裾の長過ぎる服を着ないように。さもなくば、裾を踏んでしまい、神殿の大扉に触れてしまうことになる。と、あります。これも、前季にそのような事故があったため、このようなお触れが出されたのでしょう」

「へー。神殿の大扉って、触れてはいけないんだ」

「はい、神殿内で立場がある者しか、触れてはいけない決まりです。他には、神様に捧げる花はきちんと手入れをしておくこと。さもなくば、奉納の時に、見苦しい姿を見せることになる。と、ありますね。こちらは、いまいち、どのような状況だったのかが分かりませんが」

「本当に注意事項みたいな感じなんだね」


渡された小冊子を読んでみると、同じ感じで注意事項がつらつらと書かれていた。


「はい。こちらは帝国のものですね。帝国には占い師という職業があります」

「職業?不確定な未来を予測する職?」

「はい。その、不確定な未来が偶々、当たったとしましょう。それが何回か続いた。そうすると、自然と占い師として認められるようになります。そして、その成功例から、傾向が掴めてきて、そうして、予測ができるようになる、と言われています」

「ふーん。統計ってこと?」

「そうですね。あとは庶民の知恵などからも、考えることが多いようですよ。現代では、占い師という職業が確立してきていますから、本来の予測以外にも、予言しておいて、故意にそのような事態を引き起こす者もいるようですが」

「ふーん。何か、政治的っぽい」

「そうですね。帝国の占い本は多くあります。その中でも、有名な占い師が出版しているものですね。えーと、例えば、一月生まれで白階位の者は…………のびのびと元気に過ごせる、とありますね」

「うーん?他には?」

「えぇと、九月生まれで黄階位の者は、大量の花を贈られて、困ってしまうでしょう…………?」

「うん。意味が分からないね」

「そうですね」

「王国にはないの?」

「ありますよ。占いとは少々異なるのですが、協会が発行している年間予想表というものがあります」

「へぇ、協会が?」


私が興味を持つと、ルクスは棚から、小さな冊子を取り出して、渡してくれた。


「はい。まず、王国全体の年間予想としまして、来年度は春に例年よりも多くの雨が降り、夏は例年通りの気温、秋は例年よりも農作物の収穫量がやや増加し、冬は例年通りの気温となる、とあります。これは協会の農学や気象学の研究者たちによって、各地から集めた情報を元に作られているものです」

「へぇ」

「そして、各領地ごとに、一か月予想というものをそれぞれ記しています。これは各支所からの情報を元に、その土地で予想される天候について、書かれているものです」

「なるほどね。それなら信じられるかも」

「はい。それとは別に、各領地では、その領地の特性に合わせて、領主が年間事業計画書や収入の予想を立てた書類を用意していたりします。こちらは例えば、南領であれば、耕作計画表であったり、南東領であれば、芸術の展覧会や大会の予定表だったり、と色々ですね」

「それも面白そうだね」

「はい。ですが、そういった資料は領主たちにしか知らされないものも多いですからね」

「そっか。ちょっと気になるけど、まぁいいかな」

「そうですね」


そうして、私はルクスと各国の占い本をのんびりと読み進めた。


私と回し読みをしたお陰で、占い本は直ぐに読み終えることができ、その後、きちんと他国の協会長たちに返却することができたようだ。



それからはジュネが、ルクスが面倒臭がって、進んでやらないことには、私を巻き込むようになった。


うん。まぁルクスが楽しいなら、いいか。



本編である「私の大切な人は魔術の師匠」が累計8,000pvを達成いたしました。

お読み頂いている皆様、誠にありがとうございます。

今回も、8,000という数字には関わりがありませんが、小話を書いてみました。

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