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ダンジョン・デバッガー清掃員 〜世界の不具合を修正してたら神の領域に到達しました〜  作者: やはぎ・エリンギ


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第92話 清掃員ブーム

東京ダンジョン管理局・正面ロビー。


朝から妙なざわつきがあった。


「……なんですか、これ」


カイ・シノハラは立ち止まった。


ロビーに集まった探索者たちが、

全員、清掃員の制服そっくりの服を着ていた。


黒い作業服。

左手首には偽物のバーコード。

背中にはプラスチック製の掃除機。


リサ・カミシロが眉をひそめる。


「……は? なにこれ。コスプレ?」


ナカニシ・コウイチが吹き出した。


「わてら、ついに人気職やな!」


探索者の一人が気づいて駆け寄ってくる。


「本物の清掃員さんだ! 写真いいですか!?

 最近、清掃員コスが流行ってて!」


リサは額を押さえた。


「……なんでよ」


探索者は胸を張る。


「だって、世界連結ダンジョンで虚無竜倒したの、清掃員でしょ?

 “世界を救った裏方”ってSNSでバズってて!」


ナカニシがニヤニヤする。


「ええやんリサちゃん。人気者やで」


「うっさい!」


カイは困ったように笑った。


「……そんな大したことはしてませんよ」


探索者たちは一斉に首を振る。


「いやいや! 清掃員がいなかったら世界終わってたって噂ですよ!」


リサが横目でカイを見る。


「……ほら。言ったじゃない」


カイは苦笑した。


「冗談だと思ってました」


「冗談じゃないわよ」


小声で。


「……ほんとに、あんたがいなかったら終わってたんだから……にゃん」


ナカニシが肩をすくめる。


「まあ、犯罪者扱いされとった頃よりはマシやろ」


リサはため息をついた。


「……まあ、そうね。

 “怪しい職業”とか“裏方の闇”とか言われてた頃よりは……」


カイは静かに頷いた。


「受け入れましょう。

 放置よりは、いいですから」


そのとき、SYSTEM LOG が浮かんだ。


【SYSTEM LOG】

【Trend : Cleaner Cosplay / Popularity +482%】

【Public Perception : Criminal → Hero】

【Note : 清掃員のイメージ改善を確認】


リサが吹き出した。


「……システムにまで言われてるじゃない」


カイは少しだけ照れたように笑った。


「……今日も、掃除します」


ナカニシがたわしを蹴り上げる。


「ほな、行こか。人気職の仕事や!」


リサが散弾銃を肩に担ぐ。


「コスプレしてる暇があったら、あんたらも掃除しなさいよ!」


探索者たちが笑いながら手を振る。


清掃員たちは、いつも通り現場へ向かった。


【SYSTEM LOG】

【Cleaning Start】


世界は今日も、少しだけ――綺麗になった。


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