がんばれ
昨日投稿し忘れてました、すみません。
魔法が鑑定魔法だと分かった事で、べスティア先生の指導方針が、戦闘から生産系に変わった。
「私、戦闘より生産向きなのよ。よかった、鑑定魔法なら教えやすいわ」
「先生はどんな魔法でも使えるんですね、流石です」
「おべっか使わないの。こんなのは、年数重ねれば誰でも出来るわ」
でもそれだけ継続することこそが、素晴らしいと思う。
「鑑定魔法を使うときは、こういうのに魔法を付与するといいわ」
先生が渡してきたのは、モノクルだった。度は入ってない。
「これは?」
「モノクル。これに鑑定魔法を付与すると、楽なのよ。これを覗き込むだけで魔法が使えるから」
タイパがいいのか。
「鑑定魔法は、モノクル、ルーペ、眼鏡と相性がいいの。何に付与してもいいと思うわ。魔法の付与の仕方は、前に教えたわよね。そのモノクルをあげるから、やってみなさい」
「はい。やってみます」
モノクルを見ながら、そっと握りこむ。
自分の意識を手元に集中させ、モノクルに魔力を馴染ませる。
適性能力を付与する場合は、これだけで道具を魔道具化させる事ができるらしい。
この間、先生から学んだことだ。
「そう、上手ね。四元素の場合、付与した魔法のことを「フォース」って呼ぶのよ。君のは鑑定魔法だから、フォースではないわね。雑学だと思って覚えておきなさい」
「はい」
試しに、付与が完了したモノクルを、覗きこんでみた。何を見ようかな……。
『マックロアリ:スキル【フェロモン分泌】【毒】。たまに自分が、何で働いているのか分からなくなる、不憫なアリ』
……がんばれっ!
そうか、アリも人生の袋小路に嵌まることがあるんだな……。分かるよ、営業3年目の頃、俺も人生に迷ってた。副業をやろうとして、配信者になってみたけど……結局続かなかった。ブログで稼ごうと思ったけど、結局書くことなんて営業の事しかなくて……自分の人生って何なのか、よく分からなくなった。
今世も迷いながら、生きようと思う。ありんこ、お前も頑張って生きような!
「どうだった?」
「はい、見れまし──びゃあっ!?」
思わず顔を逸した。
ま、まずい……。今のはまずい。
「どうしたの?」
「な、何でもないです、ははは……」
このモノクルで先生を見た瞬間、先生の全てが見えてしまった。
……そう、全部。
「い、いやー、鑑定魔法って危険ですねー、なんて……」
「何? 変なものでも見えた?」
「見てないです!」
見ちゃった。
……先生の裸。
何でだよ!? 返事をして振り向いたら、先生が全裸だったんだよ! でもモノクルを外したら、普通に服を着てた。
ま、まさか、鑑定魔法って、結構ヤバイ?
大丈夫? おじさん捕まらない……?
「あ、あまり気軽に使っていいものでもなさそうですね!」
「そんな事ないわ。使いこなせば、なかなか便利な魔法よ」
でも営業マン的には──じゃなくて、俺としてはセクハラ行為は御法度だ。
「あの、付与した魔法の効果を落とすのって、どうすればいいですか?」
「え? そうね……もう一回手に取って、今度は道具から魔力を奪うイメージをしてみて」
「分かりました!」
ということで、すぐに握って魔力を減らしていく。
そして恐る恐る先生の足を、モノクル越しに見る。……よし、履いてる!
「ふぅ……危なかった……」
「鑑定魔法で、そんな危ないことなんてないはずだけど……何かあったの?」
「い、いいえ、特に!」
「今後の研究として使いたいの。お願い」
言えない。「先生が全裸に見えました。とても胸が大きかったこともそうですが、こんな事をして、私は憲兵に捕まらないかと本気でビビりました」なんて言えるわけがない。
「大丈夫、怒らないわ」
それ絶対怒るやつ!
「それに、もし危険なことがあるなら、知っておきたいの。鑑定魔法のリスクなんて、聞いたことがないから」
……。
確かに、リスク管理は大切だ。ここで言わなかった事で、後々トラブルになる恐れがあるなら、共有するに越したことはない。
「……どうやら、魔法を付与しすぎると、服を透過してしまうらしいです」
「あら、そうだったの? どうだった? 私の裸は」
「す、すみません、一瞬のことだったので……。ですが、上手く使えば、暗殺者が隠している武器を見抜けるようになるかもしれませんね」
必殺、話題逸らし。
「確かにそうね。……服が透ける魔法か……。面白いわね、後で鑑定魔法の研究をしてみるわ。何か分かったら、君にも教えてあげる」
「は、はい。ありがとうございます……」
何とか事なきを得た。
先生の器が大きくて助かった……。
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