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ミカちゃんアタック

異世界4日目。


「あ、ミカちゃん!おはよう! ちょっと話があるんだけど」


「ひぃゅ#$%&*」


1日、間を空けてもこの座間である。

部屋から出たところで喋りかけたため、再び自室に入って急いで扉を閉められてしまった。

まぁこんなものか。


「そのままでいいから聞いてほしい。次の給料が出たらでこの店出て行くから。なんかミカちゃんを怖がらせるだけになってるみたいだし」


おやじさんには連絡済み。あとはミカちゃんに報告だけ。

すると、すごい勢いで扉が開いた。

問題ない。この扉は内側に開くんだぜ!


「あの……えっと……」


うつむいたまま何か言葉を選んでいるようだ。


「こ、これから、買出し付き合って……!」


一大決心をしたかのように力の入った声でそんなこと言われた。

断る理由はない。




朝市は3度目。

とは言いつつも、これで連続に通っていることになる。

3日目となると、2つ3つのお店の人が俺の顔を覚えてくれていた。

今日の買い物はニギス(のようなもの)とアゴ(のようなもの)の干物、小麦粉、ネギ、海水。

アゴというのはトビウオのこと。

この世界でそういう呼ばれ方をするのかは知らない。

出汁用の鍋を覗いた時にそれが入っていたからそういう言い方をした。

2つ目と3つ目はわかるが、最後の海水というのが驚きだ。

海まで遠いせいなのか、市場で売れるみたいだ。

これも出汁に使うそうだが、力仕事の予感……

買う量は2ケルだそうだ。

グリンの翻訳でいうと、k=klということらしい。

どうやらこの世界は言葉が違うだけで、概念は俺たちの世界とほぼ同じみたいだ。

こんな解説を入れることはこれが最初で最後になりそうな予感がする。

だって理数系は苦手なんだ!


淡々と買い物が進み、やはり重い荷物は「俺、担当!!」

とクライマックスよろしくでポーズを決めたいところだが、荷物あるし、誰にも伝わらない……


「そういえばミカちゃん、武器売っているところ知らないかな? ナイフとか、簡単に使える飛び道具でいいんだけど」


昨夜のグリンからのアドバイス通り、護身用の武器を買っておこうと思った。

買った物で両手が塞がっている今の状態では寄れないが、場所くらいは教えてもらっておこう。


「えっと……町はずれにあるよ。西門の傍なんだけど……少しわかりにくいかも」


おどおどな感じのミカちゃん

と、そこはおいておこう。


「ありがと。明日にでも行ってみるよ」


「う、うん……」


今日戻ってから行くと道に迷って開店までに間に合わない可能性があるしな。

それはそうと、


「世話になりっぱなしで申し訳なんだけど、今朝言ったとおりなんだ。せめて何かして欲しいこととかあれば言ってほしい。勿論、俺のできることなんてすごく限られてくるけど」


「して……欲しいこ……ひぅ#♪$%&*」


あー変なこと想像しちゃたか。あ、何もないところでこけそうになってる。


「まぁまぁ、落ち着いて。物でもいいよ。安い物しか買えないけど」


「ぁ……じゃ、じゃあ、あれ……」


通りかかったアクセサリー屋で立ち止まる。

ミカちゃんが指さした先には銀製(?)に花の模様が入ったブレスレット。

やはり女の子、装飾品は欲しいよな~。高そうだが聞くだけ聞いてみるか。


「おじさーん、これいくら?」


顔が白くて不健康そうな店主が出てきた。


「それなら銅貨……なんだ、あんた氣霊連れてるのか?」


実は氣霊グリンってのは、限られた人間にしか見ることはできないということだ。

このおっさん、何者だ? てか、あのカトーとかいういかれた奴も見えてたみたいだな。

なお、ミカちゃんもおやじさんには見えないようだ。


「まぁまぁ、そんな警戒してくれるなよ。懐かしいモノが見れて少し嬉しいだけだ」


「ここってこういうの連れている人っていないの?」


「普通は人に見えないように工夫してたり、魔術で視認できないようにしてるのさ。あんた素人だろ?」


うっ、痛いところつかれたな。


「まぁいいさ。このブレスレットだろ? 本当は銀貨1枚なんだが、銅貨2枚でいいぞ」


「本当!? あ……聞いておいてなんだけど、呪いのアイテムとかじゃないよね? 付けたら外れなくなるとか」


「だったら王都の闇市で売ったほうが金になるさ。こいつはちょいと古いもんでな。“文化的”にも廃れちまったし売れねぇんだ」


なにやら歴史的な背景があるようだが、ミカちゃんが欲しいと言っているもんだし、いいよな?


「じゃあ買うよ。銅貨2枚っと」


「まいどあり」


不健康そうな顔が少し元気になったような気がした。いや、なんかニヤニヤしてる。

かなり怪しいけど……いいか。


「というわけミカちゃん。プレゼント!」


「あっ……ありがとう!」


ミカちゃんは一瞬ためらったように見えたが、すぐに腕に付けた。

相変わらず恥ずかしそうだが、笑顔には間違いない。




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