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2度目の空の下で ~精一杯冒険やらなんやら楽しみます ~  作者: にらいかない


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第三話 街の入口で

 冒険者に案内され、森を抜けた彰人の前に、巨大な城壁が姿を現した。


 高くそびえる石壁。


 その中央には、頑丈そうな門が設けられている。


 門の前には、街へ入ろうとする人々の列ができていた。


「ここが、街……」


 彰人は足を止めた。


 遠くから見ても分かる。


 自分がこれまで暮らしていた日本の街とは、何もかもが違っていた。


 荷馬車を引く馬。


 剣を腰に下げた男。


 杖を持った老人。


 見たことのない服装をした人々。


 そして、門の両脇に立つ武装した兵士たち。


「ここは辺境の街、グランベルだ」


 冒険者が説明する。


「まずは門で身分証を確認してもらう。持っているか?」


「身分証……?」


 彰人は自分のポケットを探った。


 何もない。


「……ありません」


「ない?」


 冒険者は首を傾げた。


 門の前まで進むと、兵士の一人がこちらへ歩み寄ってきた。


「次。身分証を提示しろ」


 冒険者が自分の身分証を見せる。


 兵士は確認すると、すぐに頷いた。


「問題ない。そちらの男は?」


「森で保護した。身分証を持っていないらしい」


「身分証がない?」


 兵士の視線が彰人へ向く。


 その目に警戒の色が浮かんだ。


「どこの街の者だ?」


「……分かりません」


「分からない、だと?」


「気がついたら森にいて……自分がどこから来たのかも、説明できません」


 兵士は眉をひそめた。


 彰人は慌てて言葉を続ける。


「怪しい者ではありません。俺は杉石彰人といいます。争うつもりもありません」


「名前だけでは身元の確認にならん」


 兵士は腕を組んだ。


「身分証がない者を、勝手に街へ入れるわけにはいかない」


 彰人の胸が締めつけられる。


 街の入口まで来た。


 ようやく人のいる場所へたどり着いた。


 それなのに、身分証がないというだけで中へ入れない。


「どうすれば……」


 彰人が呟くと、冒険者が兵士へ尋ねた。


「身分証を持っていない者が街へ入る方法はないのか?」


「方法がないわけではない」


 兵士は彰人を見た。


「冒険者ギルドで登録すればいい。登録証が身分証の代わりになる」


「冒険者ギルド……」


 彰人はその言葉を聞き、思わず目を見開いた。


 冒険者。


 ギルド。


 まるでゲームや物語の中に出てくるような言葉だ。


「登録には費用がかかる。身元の確認も必要だ」


「お金も……」


「……ないです」


 彰人は肩を落とした。


 すると、冒険者が懐から小さな袋を取り出した。


「登録料くらいなら、俺が貸そう」


「え?」


「登録して身分証を手に入れれば、街の中で仕事も探せる」


「でも、そこまでしてもらうわけには……」


「このまま森へ戻るつもりか?」


 彰人は言葉を失った。


 森には魔獣がいる。


 武器もなく、戦う力もない自分が戻れば、今度こそ命はない。


「……お願いします」


 彰人は深く頭を下げた。


「必ず返します」


 兵士は二人のやり取りを見届けると、門の脇にある建物を指差した。


「ギルドは街の大通りを進んだ先だ。登録証を発行してもらえば、街への入場を認める」


「分かりました」


 彰人は頷いた。


 こうして、身分証を持たない彰人は、冒険者登録をするために街へ向かうことになった。


 まずは冒険者ギルドへ行き、登録を済ませなければ。


 彰人は門の向こうに広がる街並みを見つめた。


 その先に何が待っているのかは分からない。


 だが。


 ここで立ち止まっているわけにはいかなかった。


「行きましょう」


 彰人は冒険者へ声をかけた。


「冒険者ギルドへ」


 そして二人は、街の入口を抜け、ギルドへ向かって歩き始めた。



最後までお読みいただきありがとうございました。


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