第五話 球技大会
「ねぇパパ〜!!また行きたい〜!!てかパパ!!晴明っちには会えなかったからね!?」
「うん聞いたよ。ごめんね、時間軸を少し間違ってしまっていたみたいだね。」
「まぁ、楽しかったから良いけどね!!」
ウチはリビングのソファで、パパに膝枕をしてもらうように寝転がる。
「ねぇ、また行ってもいいでしょ!?」
「ダメだよ。せめて夏休みになったらね。」
「えー!!まだ1ヶ月もあるよ!!」
「たった1ヶ月だよ。ほら早く宿題して来なさい。」
「はぁ〜い。」
ウチは部屋へ戻るとベッドにダイブした。
「また、早く行きたいなぁ。」
── 2週間後
「華恋!!こっちこっち!!」
ウチはりんでぃに呼ばれ駆け足でグラウンドへ向かう。
今日は、学期末テスト明けの球技大会の日。
「男子のサッカー始まるってばー!!」
「ウチさっきバスケ出て疲れてんだけど!!てか何!あのバスケ!!男女混合って!!もっと混合にしても良い感じになる競技あっただろ!!」
「それな。ゆりゆりの彼ピのクラスと当たった時なんか、彼ピ、ゆりゆりの事庇うからクラスの人達に怒られてた。」
りこぴんはそう話しながら、グラウンドに置かれているベンチにタオルを敷いて座る。
りこぴんは、ウチの腕を引っ張って隣のタオルの敷かれているところに座るように促す。
「あいつ、馬鹿なんだよね。瑛汰」
「えー!!瑛汰ん頭いいじゃん!!学力凛に分けてくれぇ!!」
瑛汰は、ゆりちの彼氏であり、1学年に2クラスしかない特進クラスG組のギャル男。
普段はおちゃらけさんだけど、お勉強は出来るんだよね〜!!
ゆりちとりこぴんも特進クラス入れたんだけど、2人とも断ったんだって!!
ゆりちは、行きたい専門学校が決まっていて大学へ進学するつもりないって言ったらしいよ。
りこぴんは教えてくれなかったから知らない。ゆりちと同じ理由じゃないかな。多分だけど……
そして、グラウンドへ急いで来た理由は──
「高橋君!!頑張ってー!!」
りんでぃが応援する高橋君とは、高橋俠加。
瑛汰と同クラで、2年にしてサッカー部副部長。
顔面偏差値85。俠加ファンクラブまであり、学内だけでNo.2056まで存在するという噂まである、属性もりもり少年!!
まぁ……1年生265人、2年生269人、3年生270人。
先生達入れても1,000人いないんだけどね!!
そんなファンクラブ会員No.13のりんでぃは、俠加にぞっこんなのだ。
「はぁ。たかきょん今日もかっこいい。付き合いたい〜。」
「やめとけ。きょんモデルの彼女いるとか噂あるよ。」
「マジか!!でも凛は、それでも好きっ!!」
てかそんなことより。りんでぃ……
「自分のクラス応援しろ!!修学旅行の2日目がかかってんだよ!!?」
そう……ウチの学校は1年生の1学期末球技大会では、学年総合優勝クラスは、2年生で行く修学旅行先の希望を出すことが出来る。
そして、2年生の1学期末の球技大会の優勝クラスには、修学旅行2日目午後の観光先を提案する権利が与えられる。
だからみんな必死なのです!!
勿論先生方との相談のもと決定されるから、案出したら絶対通るって話じゃないよ!
そして、りんでぃの応援の甲斐あって……
B組対G組男子サッカーはG組の勝利。
男女混合バスケでは、瑛汰のおかげでB組対G組は、人数的に6対4みたいなものだったのでB組の勝利だった。
球技大会は総当たりで、学年全クラスと当たる。
B組は、D組以外全勝だったため男女混合バスケはB組の優勝。
男子サッカーはG組が優勝し、B組は4位。
あとは女子のドッジボールに懸かっている。
ウチらが優勝すれば、B組の総合優勝確定なのである!!
頑張るぞっ!!
ウチらは第二体育館へ移動し、2年生女子ドッジボールが始まった。
2コート同時進行。
第一コートでは、H組対G組。第二コートでは、F組対E組。ウチらは一回戦目が終わった後なので、B組の番まで端の方で座って見ていた。
男子のグラウンド競技は3年生に移り、2年生男子は全種目終わったため女子の応援に来ていた。
「百合〜♪今日もカワウィ〜!!ポニテ似合ってんね〜!!」
瑛汰はゆりちを見つけて絡んできた。
中学3年生の頃から続く、いつもの光景である。
でもその横に俠加と、瑛汰の幼馴染の奏英がいた。
さっきから周りの女子の視線が痛いと思ったら、美形が揃っているのか……
「たかきょっ……」
りんでぃはそう言いかけてフリーズした。
「百合ぃ、俺ら優勝したよ!優勝〜!!どこ行きたい?どこ行きたい〜?百合の行きたい所俺が出してあげるからねぇ〜!!」
その言葉に、ゆりちは顔色が変わった。
肩に回された瑛汰の腕を振り払う。
「なに?あんた、私らが負けると思ってるわけ??」
瑛汰はヒュッと大人しくなる。
「そ、そんなわけないよぉ〜百合〜!!百合は運動神経もいいもんね〜!!でもさ!きょ、今日は団体戦だからぁ!!」
瑛汰は半泣きでゆりちにすり寄る。
ゆりちは負けず嫌いなのだ。
瑛汰が1番知っているだろうに……
そして、瑛汰のおかげでメラメラになったゆりちの活躍もあって、女子ドッジボールはB組の優勝。
2年生の総合優勝はB組、2位D組、3位G組で球技大会の幕を閉じた。
ウチらは体操服から制服に着替えて教室へ戻る。
担任の内田幸隆先生は教壇で、感動のあまり大号泣していた。
教室内は笑いで包まれていた。
「ウチユゥ泣きすぎー!」
「ウチユゥめっちゃ楽しみにしてたもんな!!修学旅行!!」
そう、ウチらの担任教師ウチユゥは新任教師で、教師として行く初めての修学旅行にして海外!!
二年生の担任になった時点で、ウチらと同じぐらい楽しみにしていたのだ。
そしてウチユゥは、今年の二年生の修学旅行先であるオーストラリアには初めて行くらしい。
楽しみすぎて学校にコアラのTシャツを着てくるほどだ。
流石にダサい、それに……
「ウチユゥ〜!!修学旅行より先に体育祭あるし、修学旅行前に文化祭の準備もしなきゃだから大忙しだぞ〜!!」
「はっ!そうだった!!けど、華恋それに百合香!よくやった!!今回のMVPはお前達だな!!」
そう。ドッジボールでウチとゆりちの2人だけが残ってしまった時、ちょー頑張って外野にボールを回しつつ、相手の攻撃を全て避けながら相手チームを全滅させたのだ!!流石にドヤ顔!!
「よし!先生からみんなに頑張ったご褒美を渡すぞー!!」
ウチユゥは、教壇の下に隠していた段ボールを出した。
小さな紙パックのジュースと、駄菓子が3個入った袋を配った。
「ウチユゥ最高ー!!あざっす!!」
「先生ありがとー!!」
ウチはB組の雰囲気が凄く良いのは、ウチユゥのおかげもあるなと思った。
1年の時からクラス替えもなく、担任もそのままウチユゥだった。
ウチが入院していた時も、ウチユゥはよく学校のプリントを持ってお見舞いへ来てくれていた。
「あ、そうだ。来週までに行きたい所、考えてきてくれよー!修学旅行の班は6〜8人だからな。授業までに決まってなければ、先生達の方で決めることになってるからな!」
ホームルームも終わり、みんな部活やバイトなどでパラパラと帰って行った。
「あと2週間で夏休みだぁああ!!」
「りんでぃ夏休み何すんの〜?」
「凛はねー!!田舎のばあちゃん所ー。花火大会くらいには帰ってくるけど。はぁー。」
「いいじゃん!!田舎だからこその楽しさもあるっしょ!!」
「わーん、華恋ありがとぉー!!ポジティブシンキングだねー。」
「ゆりちは〜?」
「私?金沢ー、白川郷行きたかったんだよね。」
「うわっ。めっちゃ良いじゃん!!」
「でしょー。まぁ、だから夏休み入ったら2週間はバイト漬けかなー。」
「え!ゆりちバイトすんの!?」
「今もしてるよ、土日だけだけどね。」
「え!!聞いてない!!」
「聞かれてない。」
「それもそうだ!!りこぴんは?」
「僕、予定ない。考えてなかった。」
「そっかー。てか!!ゆりちバ先教えてよ!!」
「そうなると思ったから言わなかったんだけどね。カフェだよカフェ。」
「え、週末行っても良い!?ね、みんなで行こうよ!!」
「いいねー!さんせーい!!」
「僕も、恋々行くなら行く。」
「やったー!!決まりっ!!」
「まじで来るの?全然良いけど、予約取らないと多分入れないよ。何故か週末だけ異様にお客さん多いんだよね。」
「へぇ〜。ゆりちが綺麗だからじゃん?」
「ありがと、まぁ時間決めたら予約しといてあげるよ。」
「わーい!お願いします!!百合香様っ!!」




