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この世界で何を求める  作者: 七支 刀
楠野里高校編

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楠野里高校:08

 席に戻ると陸上部や周りの面々は移動せずに、そのまま座っていたようで良太達は注目を浴びる形となった。


「とりあえず、さっきの話は大河に、生徒会長に伝えるようにしたから、もう移動していいよ」


 座りながら周りに聞こえるように大きな声で言うと、安堵の声を共に何人かは移動していった。見張りを頼んだ比奈も報告をしてくれる。


「帰ってくるまでに移動した人はいなかったわ。何人かトイレから帰ってきた人はいたけどね」


「ありがとう。じゃあ大丈夫だよ。事前に話は回ってる内容だったみたいだしね。今のタイミングで暴れだす人がいないことを祈るだけ」


「やっぱりそれは考えるよね。でもこれからずっと食料の在庫を考えながら過ごさないといけないのかしらね」


「わからない、まあ“くろこ”からの説明終わった訳じゃないだろうから、全部聞いてから考えよう。あと2分くらい時間あるし、休憩しとこ」


「分かったわ」


「比奈先輩すみません。自分の発言で迷惑かけました」


 蓮太郎も比奈に謝っている。その前に周りの陸上部には謝っていたようだ。


「気にしないで。でもこれからは気を付けてね?」


「ハイ……すみません」



 休憩に席を立った面々が返ってきたころ合いで、体育館の舞台に表示されたタイマーが終了した。


『さあ時間だ。続きの説明に移らせてもらう』


 タイマーが消えるのと同時に再び姿を現した“くろこ”が説明の再開を伝える。それまで話し声でザワザワしていた体育館は一気に静寂を取り戻した。


『では、ダンジョンの詳しい説明だ。基本的に奥に行くほど敵モンスターの強さは上昇する。君たち全員に配布されている初期装備では完全攻略は不可能であると宣言しておこう。』


『十分に準備してから挑むことをお薦めする。仮にダンジョン探索を主に活動するものを冒険者と呼称するが、冒険者は自らのステータスと所持している武器、装備している防具などに依存する。分かりやすくゲームの世界のシステムと考えてくれて構わない。』


(生産職のレベルアップが必須か……ダンジョン攻略よりもこっちの方が優先かもな)


 “くろこ”の話ではどれだけ最良の武具を揃えることが出来るかが鍵のように聞こえる。良太の心中での問いは続く説明によって肯定される。


『武器や防具の生産にはダンジョンのモンスターを討伐した時に獲得できるドロップ品が利用できる。レベルの高いモンスターのドロップ品を素材とした武器防具はそれだけで強力だ。ただし生産職のレベルにも多大な影響を受ける。ちなみにモンスターからは食料もドロップするので有効に使ってほしい』


「食料がドロップするの?それを私たちは食いつないでいけばいいのかしら」


「けどダンジョンからのドロップって肉ばっかりなんじゃないかな?川とかあれば魚はいるだろうけど」


 食料という単語に比奈が反応する。それに大河は冷静にダンジョンの特性を考えながら返事をしていた。そして大河は笑いながら続ける。


「でっかいキャベツのモンスターでもいれば野菜もドロップするかも」


(いるのかね~、いたら結構楽になりそうだけどな)


 良太も会話を聞きながら心の中で考える。


『先ほど言った生産職のジョブは、ジョブごとにある程度のチュートリアルが用意されている。修業期間だと思ってくれ。それが終了すると技能レベルによって扱える素材、完成度が変化する。農業などの環境に左右されるものに関しては技能レベルが重要ではあるがそれ以外の要因にも左右されると考えてほしい』


「生産職のジョブに就くにはどうすればいいの⁈」


 体育館に響く声がした。声の方向を見ると弓道部の集まっている場所のようだった。


「誰だっけ?」


「弓道部主将の沢田里桜(さわだりお)さんだね。あんまり積極的に話すイメージはないからわからないのも無理ないよ」


 大河に質問すると大河も声の方を向きながら答えてくれた。


 それを聞きながら違和感を覚える。違和感は即座に確信と変わった。


 ”くろこ”の声が、聞こえない。


 思考が追いつくより早く、立ち上がり視線を舞台に向ける。そこには、こちらに気が付くのを待っていたかのよう立つ“くろこ”の姿があった。


『今、“ある学校”からどうやって生産職に就くのかという質問がでた。説明しておこう。簡単に言えばステータス画面から設定出来る。ただし先ほども言ったようにチュートリアルを終了しないと自分の好きなものを作れない。それが“ルール”なのでね』


 体育館全体に緊張が走った。質問を投げた沢田里桜も固まっている。この体育館からの声が“くろこ”に聞かれているという事にこの場にいる全員が衝撃を受けている。ただし“くろこ”には関係ない事だったようだ。


『さて、最後にこの世界、《Terra Aurea》で君たちが存在できる時間は有限だ。この世界のルールである、一定の期限を過ぎればこの世界に“転移”してきた人間はすべて死ぬ。その期限は明かさない。……まあ流石に5年以上であるとは言っておこう』


(……今の状態で何を言い出すんだ。5年ってヤバすぎるだろ)


『君たちはそれまでにダンジョン迷宮を完全攻略し、地球へと帰還しなさい』


 “くろこ”の口元に笑みがあるような言い方をした。それは、期待しているというようにも絶対に無理だと嘲笑っているようにも聞こえる。


『全世界でいったい何人が地球に帰還できるのか楽しみだ。』



「これで、私からの説明を終了する。これから先は君たちの自由だ。君たちがどう生きるのか、何を求めるのかを見守っているよ」

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