001 仕入れ記録
本作品のネタ切れが激しいので、今回もこちらの書店ミリアにて誤魔化させていただきます。
申し訳ありません。反省してますせん。
「むー…」
午後11時を回った頃、客足の無い店内に唸り声が響く。
「…むーぅぅぅ…」
このままではダメだと、先程裏にまわって淹れてきたコーヒーを一口啜る。
口に広がるのはコーヒー独特の苦みではなく、ほとんどミルクの味しかしないカフェオレだ。そして乾いた喉に氷で冷やされた液体が喉を伝うのを感じる。
ふぅ〜、とため息を吐き、もう一度考え直してみるが。
「む〜ぅぅぅ…ダメだぁ〜!」
「大声出してどしたよ」
背後からガチャっという扉が開くと共に声が聞こえる。
「あ、オルナンさん!おそようですね〜…また、深夜まで飲んでらしたんですか?」
オルナン、書店の従業員の1人であり、同じ建物で暮らす親しい人でもある。
年は20代後半らしいが、見た目は若々しく、身長もさほど高くはない。
私からしたら昔から兄のようなものだ。
「お子様にゃ関係ないだろ…んで、なに唸ってたんだ?」
「あぁ、それはですね…」
そう言いながら、自分手元にある帳面をオルナンに覗かせる。
「仕入れ記録か…」
仕入れ記録。
以前祖母が書籍の仕入れの際に全て記録していたという。
「これがどうかしたか?」
怪訝そうに首をかしげるオルナンに対し、ミリアは机に再び突っ伏し
「分かんないんですよぉ…」
しかし、ただ分らないと言われただけでオルナンも分かるわけではない
「何がだよ」
ミリアは再び顔を上げ、苦虫でも齧った様な顔で
「仕入れ…」
「成る程」
祖母が他界し、「書店オリィヴァ」は閉店した。
しかし、ミリアは祖母の事が好きな様に、書店のことが好きだった。
結果、閉店翌日には看板に「書店ミリア」の文字があった。
それから一年ほどは祖母の残した本で何とか商売は成り立ってきたが、その客足も途絶え始めている。
分かってはいたのだ。
置いてる本が時代に遅れていることも、私だってまだ15歳になったばかりなのでオルナンの力を借りたところで上手くいくわけもないことも。
でも、祖母に私は出来るっ!というところを見せたい。
その一心で仕入れ記録を取り出してみたのだが…
「大体、今ってどんな本が流行ってるんですかねぇ…」
私も本は好きだ。
これまでたくさんの本を読んできた。
ファンタジー、ミステリー、童話、様々なジャンルの本を読み、全てが好きになってきた。
だからこそ、一般のお客さんがどんな本が好きなのかが分らない。
全部仕入れるにしても、予算が足りない…
「お前が好きなの入れりゃいいだろ。」
「全部いいので選べませんって」
「成る程」
やれやれと言ったように、オルナンも首を傾ける。
私としては、祖母の本で満足している。
多少、黄ばんでいるものもあるが掃除は欠かさずしているので状態は古いわりにいいほうだと思う。
「お客さんの意見のでも取り入れてみたらどうだ?」
「そもそもお客さんが…」そう言いかけた所で書店の入り口のドアベルが鳴る。




