エグザート序説「その者、旭日の狭間に降り立ち」
ようやく続編が出来たので投稿します。全て連続投稿となるでしょう。これからは毎日更新で午後七時には上がっていると思うので。どうぞよろしく。では、エグザート~その夢見たる炎~の始まりです。
エグザート~その夢見たる炎~
序説「その者、旭日の狭間に降り立ち」
薄暗い皆底から見える景色はいつも絢爛。
鳴る爆竹。
紅の灯篭。
霧に巻かれて彷徨えば。
不意に何も無いと気付く。
現実は蛆虫の這う腐肉に狗のような匂いをさせて喰らい付く光景ばかり。
終わりも見えない夜天は何処までも薄暗く。
嬌声響く不夜城は単なる壁となって指の痕すら付かない。
いつも殴りに来る店員の手には掃除用具。
塵を突き殺す為の悪意ある針金。
両手を差し出せば、降ってくるのは音色。
嘲笑と侮蔑と憐憫の交じり合う言葉。
赤い赤い塵の汁が飛び散って。
地べたの埃に混じれば、黒く染まる。
悴んだ手に落ちる黄金が焼けたように熱くて。
割れた硝子に硝子球が映る。
それは何もかもが曖昧な頃。
まだ世界が世界であった頃。
嵐に溺れ、水に巻き上げられるまでの話。
終わり無く続く無間。
見えざる鬼だけが友だった世界の話。
瞳を開けて。
唇を開けて。
喉を開けて。
手を閉じて。
言葉にならない叫びを上げて。
夢より砕けた鬼城の中で。
夢の限りを尽した夢を。
始めよう。
『………』
軍用ヘリのローター音。
霧上の部屋にて。
朱の空より来る者。
遠き隣国からの糸。
瞬きに失せる雲の波間。
寝台の上に一人。
身に付けるものも無く。
『ようこそ。日本人』
数え掛けの萎れた札束の上を歩き。
窓際に寄って。
『この世界一の鬼城に………』
涙が一粒、落ちた。




