空振り
雷鳴ホロホロ鳥の料理を片づけ、僕たちは本来の調査地点へ向かった。
金色の羽根が見つかったのは、山の中腹にある切り立った崖だ。
道らしい道はなく、岩場を登ってようやく目印へたどり着いた。
「羽根は、この岩の間に落ちていたらしい」
レオンさんの言葉を聞き、僕はすぐに周囲を調べ始めた。
岩の隙間をのぞき、低木の根元をかき分ける。落ちている羽根や糞、爪で削られた跡も一つずつ確認した。
「これは小さすぎる……こっちも違う」
見つかるのは、どれも普通の鳥の痕跡ばかりだ。
手に取った羽根へ意識を集中しても、【フライドチキン】は何の反応も示さなかった。
「大型の鳥が降りた跡はない」
レオンさんも地面を調べながら告げる。
「少なくとも、最近ここへ来た形跡はないな」
「残っている魔力も薄すぎるわ」
ヴィオラさんは、依頼で預かった金色の羽根を手にしていた。
「強い魔力を持っていたことは分かる。でも、神鳥のものだとは断定できない」
「別の鳥型魔物の羽根かもしれません」
セシルさんも羽根を見つめ、首を横に振った。
僕は崖の上を見上げた。
下に痕跡がないなら、上に巣や羽根が残っているかもしれない。
「レオンさん。崖の上も調べられませんか?」
「登った跡も、鳥が降りた跡もない。今から上へ回れば、帰還が遅れる」
「でも、ここまで来て何も見つけられないまま帰るのは……」
神鳥を倒すために、僕の力が必要になるかもしれない。
そう聞いたばかりなのに、僕は何一つ役に立てていなかった。
「焦るな、テオ」
グレンさんが僕の肩へ手を置いた。
「二百年も倒されていない相手だ。三日探して手がかりが見つかるなら、とっくに誰かが見つけている」
「ですが、もう少し調べれば何かあるかもしれません」
「その『もう少し』を繰り返すと、帰る時間を失う」
レオンさんが立ち上がる。
「今回は三日と決めた。調査範囲を広げるなら、次はその準備をして来る」
「次も六人で来るために、今日は戻るのよ」
ヴィオラさんの言葉に、僕はもう一度崖を見上げた。
悔しい。
けれど、手がかりがないからと予定を変え、全員を危険にさらすことが六人目の役割ではない。
「……分かりました。撤収しましょう」
「ああ」
グレンさんがうなずく。
「今回は空振りだ。だが、六人で移動し、捕獲し、野営することはできた。それが分かっただけでも無駄ではない」
「次に来るまでに、僕の力で何を調べられるか考えておきます」
「それでいい」
日が傾き始めていた。
僕たちは荷物を背負い、来た道を引き返す。
神鳥の手がかりは見つからなかった。
次はただ探すだけではなく、僕にしかできない探し方を用意して来よう。




