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ハズレスキル【フライドチキン】で脳汁無双 〜追放された治癒師、揚げた鳥がうますぎて冒険者ギルドに囲われる〜  作者: あゆと


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17/20

叫び

「テオ! 生きてるぞ!」


ガイが大きな袋を抱えて、ギルド横へ走ってきた。

袋の中で鳥が暴れ、布越しに角の形が浮く。


コケェェェェェッ!


依頼板の前にいた冒険者たちが、一斉に振り向いた。


「生け捕りだ!」


ガイが袋を下ろそうとしたところで、ギルドマスターが前に出た。


「ここで開けるな。試験用だ。成功者のガイだけ裏へ来い。他は外で待て」


冒険者たちが不満を上げたが、リリカさんがすぐに列を止めた。


「成功者同席です! 結果は出せる範囲で発表します!」


僕は袋の中を確認した。


ツノコッコだ。

羽は乱れているけれど、大きな傷はない。

ガイは本当に、生きたまま捕まえてきた。


「できます」


ガイが笑った。


「よっしゃ、優先試食権!」


僕たちはギルド裏へ回った。

入口には職員が立ち、外の冒険者たちは中をのぞけない。


僕はツノコッコを台へ運び、すぐにとどめを刺した。

暴れたまま油の前へ持っていくわけにはいかない。


羽を処理し、部位を分ける。

肉は麦羽鶏より小さく、硬い。香りも弱い。

ツノコッコは、肉としてうまい鳥ではない。


リリカさんが紙皿を三つ並べた。


「テオさん確認用、成功者用、ギルド確認用です。大きさは同じです」


ギルドマスターが口を開きかけたが、リリカさんが先に言い切ったので黙った。


前にツノコッコを食べた時は、焼いただけだった。

今日は違う。


僕がとどめを刺し、下処理をして、衣をつけて、油で揚げる。


じゅわっ。


麦羽鶏の極みとは違う匂いが立った。

きれいな脂の香りではない。

でも、衣が色づくにつれて、肉の弱さを押し返すような強い香りが出てくる。


最初の一切れを揚げ、僕は端を切ってかじった。


熱い。

苦味はない。

しびれもない。


肉は硬い。

それなのに、衣の中から味が出てくる。


「……うまい」


僕はもう一口食べた。


「ツノコッコで、ここまで出るんだ」


作った本人なのに、手が次の部位へ伸びそうになった。

もっと確かめたい。

別の鳥型魔物でも試したい。


「食べられます。試験成功です」


リリカさんが、成功者用の皿をガイへ渡した。


ガイは自分が捕まえたツノコッコを見てから、一口かじった。


次の瞬間、ギルド裏から外へ声が木霊した。


「うめええええええええええっ!」


外で待っていた冒険者たちが、声だけで騒ぎ出した。


「今のガイだろ!?」

「食ったのか!?」

「叫びだけで分かるぞ!」


ガイは二口目を食べ、皿を見たまま言った。


「麦羽鶏の極みと同じくらいうめぇ。でも味が違う。肉は硬いのに、ちゃんと食いたくなる。ツノコッコなのに、うめぇ」


ギルドマスターも確認用を食べた。


少し噛んで、飲み込む。


「極み超えとは決めん。一回目だからな」


そう言って、僕の皿を見る。


「だが、肉の悪いツノコッコで麦羽鶏の極みに並ぶなら、魔物としての格は見る価値がある」


「もっと試したいです」


僕が言うと、ギルドマスターは短く笑った。


「いい顔だ。続けるぞ」


ギルドマスターは外へ戻った。

冒険者たちが詰め寄ろうとしたが、太い声ひとつで止まる。


「試験は成功だ。極み超えとは決めん。だが、ツノコッコで麦羽鶏の極みに並んだ」


一瞬、ギルド前が止まった。


すぐに、爆発した。


うおおおおおおおおおっ!


「ツノコッコで!?」

「肉まずい鳥だぞ!?」

「なら、もっといい鳥型魔物ならどうなるんだ!」


ギルドマスターが依頼板を指した。


「鳥型魔物の生け捕り依頼は続行だ。種類不問。成功者には優先試食権あり」


冒険者たちが受付へ走る。

網、袋、縄の話が一気に飛び交った。


その日の昼過ぎ。


ギルドの外から、また袋の暴れる音が聞こえた。


一つではなかった。


三つだった。

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