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ハズレスキル【フライドチキン】で脳汁無双 〜追放された治癒師、揚げた鳥がうますぎて冒険者ギルドに囲われる〜  作者: あゆと


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11/23

作戦会議

「三日連続完売です!」


 リリカさんは、昼食のパンを片手に言い切った。


 ギルド横の出店には、もうフライドチキンは一切れも残っていない。油鍋の火は落ち、空の器は伏せてあり、台の下には売上袋が置いてある。


 初日は売れた。二日目は仕込みを増やした。三日目の今日は、さらに増やした。


 それでも、昼まで持たなかった。


「偶然ではありません。売れています。かなりです」


 リリカさんが売上袋を指で叩くと、ちゃり、と硬貨が鳴った。


 僕は袋を持ち上げた。重い。依頼の報酬とは違う。僕が揚げたフライドチキンと引き換えに、冒険者たちが一人ずつ置いていったお金だ。


 かなり浮かれた。


「売上、すごいです」

「すごいです。ですが、問題があります」


 リリカさんは空の器を指さした。


「私たちのフライドチキンがありません」

「三日連続で完売しましたからね」

「共同経営者として、味の確認ができません!」


 共同経営者。


 リリカさんはそう言い切って、すぐ作戦会議に入った。


「法則は二つです」


【鳥の格】

【テオさんの関与】


「鳥が良ければ、味の土台は強くなります。でも今回は、鳥の格を固定します」


【麦羽鶏】


 麦羽鶏は、この町で一番よく食べられている普通の鳥だ。高級ではない。珍しくもない。肉屋に行けば、たいてい並んでいる。


 三日間、僕たちが売ったのは、その麦羽鶏のフライドチキンだった。


「全部、麦羽鶏です」

「普通鳥でそろえるんですね」

「はい。だから、動かすのはテオさんの関与だけです」


【全部】

【下処理まで】

【とどめだけ】


「商品は、この三つです」


【極みフライドチキン】

 全部テオさん。

 とどめ、下処理、塩、衣、油、揚げまで全部。

 数量限定。高め。


【特製フライドチキン】

 下処理までテオさん。

 調理は料理人。

 主力。


【定番フライドチキン】

 とどめだけテオさん。

 下処理も調理も料理人。

 数を出す入口商品。


「極みは、一番強いです。でも、数が出ません」

「僕が全部やりますからね」

「だから高めです。安くしたら、テオさんが倒れます」


「特製は、一番売ります。味も強い。数も増やせる。お客さんも満足します」

「主力ですね」


「定番は、買いやすくします。初めての人がまず食べる用です」

「十分、美味しいですもんね」


「値段は、定番を少し買いやすく。特製は今までと同じか少し上。極みは高くします」

「売れますか」

「売れます!三日間、見ました」


 受付嬢として冒険者を見てきた目と、三日間フライドチキンを売った目が、同じ方向を向いていた。


「三種類にすると、必要なものも決まります」


【麦羽鶏】

【料理人】


「麦羽鶏は、もっと必要です。三種類分を仕込むなら、今までの数では足りません」

「はい」

「それと、料理人です。会計、列の整理、注文、看板、売れ方を見るのは私がやります。共同経営者ですから。でも、調理の手は足りません」


 ただの手伝いではない。


 下処理を雑にしない人。衣を任せられる人。油を見られる人。僕が関わった麦羽鶏を、ちゃんとフライドチキンにできる人。


「料理ができる人ですね」

「はい。料理人です」


 リリカさんは残りのパンを口に入れ、立ち上がった。


「次は、手伝ってくれる料理人を探しましょう!」

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