その理由
その頃、寺では。
「クレンさまが見当たりません」
「んん!??」
生善は少し酔って、リビングで机に突っ伏して寝ていた。
「クレンさまがどこにもいないんです」
「ん?どうせどこかに隠れているんだろう、あいつは、いたずらが好きだからな、まだ小さいから……」
クノハは生善が寝ぼけて昔の事を話しているとわかり、彼の耳をつまんだ。
「生善さま!!起きてください、クレン様が見当たらないんです!!」
「ああ?あいつは、んー……」
生善は周囲を見渡す。立ち上がりクノハと同じく部屋を見渡すが確かにいないようだ。スマホに目を通す。
「あいつなら、大丈夫だろう、若いんだ、何か遊びにいってるんだろう、もし危ないことがあれば連絡の一つくらいしてからいくさ」
「そんなことありません!!彼は!!」
「……!?」
あまりの絶叫に冷や水を浴びせられたような顔になった。
「彼は最近一人で、ずっと一人で生善さんに危害がくわわらないように調査をしていたんです、ここ最近変な事が多いから!!」
「それで、何か見つかってたの?」
「ええ!!友達のセイヤさんまで巻き込んで」
「……」
整善は手にして、一飲みしようとしていたグラスをおいた。
「ふむ」
「こうしてはいられません!私は探してきます、幸い、まだ彼の“気”はわずかにのこっている、ある程度なら追跡できます」
「……」
生善はクノハのいなくなった方向をしばらく見つめていた。
「クレン……俺は、お前に重責を背負わせてしまった、まだ間違いを続けているのか……お前の苦しみを、見ないように」
クノハは、一人でクレンを追跡していた。ある程度まで追跡できたが、しかしらちが明かない。だが、クノハは公園近くであるものをみつけて、はっと気づいた。
「これは……」
一方クレンは、なんとかして、体を乗っ取られた女性―サノン―の体を悪霊と引きはがせないか、対話を試みていた。
「どうしてあんたがそこまで気を病むんだ?」
「私があの子を裏切り、あんなふうにしてしまった」
「何があったんだ?」
「私たちはとても仲のいい姉妹だったの」
クレンは持久戦になると思い、隙を伺いつつ、戦いを続けていた。もしかしたら、チャンスはないかもしれない。だがチャンスを見つけた瞬間に敵の弱点をつく、あるいはこのサノンという女性が自我を強くもてば、その時―一瞬でも隙ができる―サノンは、自分の記憶を語りだした。
―私たちは、まだ幼い時期には、大事なものや好きなものを共有するほどなかがよかった、けれど、当然、大人になればそれはかわっていく、普通なら―
10歳を過ぎたときから、すべてが変わりはじめた。




