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どさくさ、贖罪

「ふっ!!」

 クレンは気を勢いよく射出すると、自分の腹部の“器官”が動きが活発になるのを感じた。退魔師しかほとんど知りえないこと、人間には、目に見えない“退魔器官”が備わっている。それが善にも悪にもなりえる。―もうほとんど、それを覚えている者たちもいないが―

 クレンは、一気に体に回るのを感じた。

「あーくるくる、この感じだよ、うん、そうそう、こうやって無茶してたなあ」

 カノンは、少し意識がもうろうとしながらクレンを見つめる。

「レンちゃ、クレン……どうして、あなた、無茶して……」

 カノンの中のクレンはいつもああやって、自分を痛めつけていて、誰がどうみても、無理をしているのに、ヘラヘラとわらっていた。

(最後にああやって笑ってたのはいつだったかしら、兄デゲスのウソにだまされた彼の親友たちは、大勢でキミを襲った、キミはなるべく彼らを傷つけないようにして、戦って、そして最後に笑っていた)

―あの時、彼はなんて言っていただろう―思いだせない。私は、彼の力になれていただろうか。彼は、それが原因でやめたのではないだろうか。退魔師を。


「はあっ!!」

「クレン!!」

 亡霊の見えないセイヤにも、悪霊の影はうっすらとみえた。だがクレンはいまだ防戦一方に感じる、だが、クレンは両手の平に気を宿していた。

「くうう!!何だ!!力が吸い取られる」

「“気吸術”だ、魔のものの気は“退魔器官”をもたない、だからその意思は恨みひとつで収束している霧のようなもの、本体からはなれれば、宙を漂う霧と変わりない」

 悪霊はクレンの手をみる、気が集い、刀の用な形状に鋭くとがっている。よくみると、攻撃するたびに悪霊の、鋭いつめ、女の体と重なっていない部分をきりとり、気を分散させ、その瞬間に吸収しているようだった。

「くう、小癪な!!」

「おい、あんた!!」

 クレンは、女性に呼びかけた。女性はうつろな目をして、クレンをみていた。その体や意思はほとんど悪霊にのっとられ、力ない顔と勢いよく動く体の対比が奇妙で不気味であった。

「何……ですか?あなたは?」

「俺はクレン、あんたは?以前もあったよな、昔から世話になっている、俺の良くしっているあの人に似てるんだ、そんなわけはないと思うが、彼女の退魔器官は……」

「私はサノンです、この悪霊はヨギ、私が彼女のために悪霊を集めてつくった、怪物、いや、怪物はあの子かもしれない……あの子は、私の妹は、くるってしまった、けれど私のせい、すべて私が悪い、これは贖罪、あの子の願いをかなえてやることが」

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