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弱者

 マスクの女が声を発する。

「私は“弱きもの”英雄に救われず、悪魔と契約して、力をえた」

 クレンは眉をひそめる。

「何をいってる?」

「退魔師クレン、あなたにお願いがある」

「俺はもう退魔師じゃないが?それに、お願いって態度じゃないだろう?ここ最近、脅したり、人質をとったり、デジャブすぎるんだが」

「フン、名前など何の意味がある、この“かつて魔物が支配していた世界”で、突出した“退魔器官”を持つお前は、立派な退魔師だ、お前が望もうと望まざると」

 クレンは、咄嗟に頭をめぐらせた。腹部にあるごく小さな“退魔器官”それらは、この世界でもごく一部のものにしか認識もできなければ、知ることも許されていないものだ。敵はなぜその情報をしっているのか。

「あんた、“カルマテイカー”だな?」

【そんな事はどうでもいい、暴力、力だけが“弱きもの”であった私を変えた】

(間違って変えたんじゃ?)

 クレンは、疑り深い目で敵を凝視した。仮面の女は、委員長ににた女に手を伸ばす。すると、女性はみるみる苦しみだした。

「ぐう、アアア!!!イヤアアア!!!アアアア!!!」

 原因は、女性が持つ箱らしい、その箱はからくりのように奇妙に形をかえ、女性にまきつき、やがて首輪のような形になった。


 そして、仮面をつけた女が、暗闇から姿を現す、漆黒のマントに身を包んでいたようで、マントをひろげる。その下は、ふわふわの温かい生地で、しかし下はショートパンツ、上はほとんど水着さながらの格好だった。

「……露出狂?」

「……何ふざけてんのよ、今、あんたは大変な事態なのよ」

「いや、予想通りだって思って」

「何が?」

「カルマテイカーは、皆自分の欲望や内心に奔放になる、あなたもそうだったんだね、それでも仮面をつけている、あなたは、心が弱い人なんだね」

「う、うるさい!!!何をいってるのよ!!」


 一方、生善は、リビングで静かに晩酌をしていた。クノハが、ゆっくりとその対面に腰かけていた。

「ああ、君か」

「どうして、本当の事をいわないのですか?」

「……いってどうなる」

「彼には心の準備が必要だったのです」

「ああ、だが……」

「何か?」

 生善はゴクリと勢いよく飲み、グラスをおいた。

「うん……俺自身、あの言葉を信じていいかわからないんだ」

「というと?」

「俺が、彼女の言葉をいいわけに、生善におしつけていやしないか、今でもずっとわからない、だから踏ん切りがつかない」

「……あなたは、そんな夜を幾度も超えてきたのですね、幾度も幾度も……」

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