謝罪
しばらくすると、クレンが突然手を天にのばし、うなされたまま目をあけた。
「うわああ!!」
「!!レンちゃん!びっくりした」
「クレン!!大丈夫か!!」
体をおこし、周囲を見渡す。
「ここは、家……あの女は!!悪霊も!!」
「……クレン……?ひとまず安心だ、状況はよくわからねえが、悪霊はもういない」
「そうか、クノハ……」
クレンには、自分の真上を宙に浮かんで皆と同じように心配そうにみて、涙ぐんでいるクノハがみえた。
「クノハ……」
「レンちゃん!!」
クレンに突然だきつくカノン。クレンが肩にてをやり、クレンは赤くなり引きはがそうとする。
「……」
「お、おいどうし……た」
強くだきついたままカノンは離れようとしなかった、クレンははっとした顔をする。覗き込むように下から表情をみてみると、カノンはないていた。
「お、おいカノン」
「レンちゃん、どうしてまた無茶を、どうしてまた一人で抱え込んで、また昔みたいに……それじゃいつか、またボロボロになっちゃうよ……あの時みたいに」
「あ……ごめ……ん」
「ごめん!!クレン!!」
「!?」
クレンの謝罪にかぶさるように、セイヤが肩をつかんでいった。
「俺、部活の休憩中にあの幽霊をみたんだ、お前みたいになれるのがうれしくて、調子にのっておいかけたら、そしたらいつのまにか俺意識を失い、乗っ取られていたみたいで、自分が何をしているかぼんやり遠くから見ているみたいだった、現実離れしていて、夢をみているんだって、悪夢だったけど」
セイヤはうつむきながら、そんなことを矢継ぎ早につげていたが目の前の男女が抱き合っている光景をみて、ぽつり言葉が口をついてでた。
「夫婦……」
すぐにクレンとカノンはお互いはなれて、そっぽをむいた。少しの間をおき、クレンが声の調子を整える。
「大丈夫だ、何にもなかったし、それにこれは俺がなんとかしようとした結果でしかない、まだ迷っているんだけど、俺は親父も皆も傷つけたくないし」
カノンがその言葉をきいて、少しうつむいて表情に影がおちた。
「レンちゃん……迷ってないんだね、また一人で、抱えきれるはずのない問題をかかえて、自分を犠牲にするんだ」
その様子をみて、セイヤは、二人の仲にある微妙な空気をさとり、どうしてこの場を取り持とうかと考えた。そこへ、軽快な、気の抜けるような声が響く。
「かえってきったぞ~う、クレンはおきたかあ!」
生善だ。玄関からあがりこみ、マイバッグを大きくもちあげ、しばらくしてニコニコして部屋にはいってくる。
「ただいまー」
そして、カノンがクレンの手を握っているのをみて、一言。
「夫婦か……いいな」
またもやクレンとカノンは、互いの手をかくしてそっぽをむいた。




