神妙
セイヤがクレンの父親から目を話し、カノンをみると、カノンが口をとがらせて、そっぽをむいていた。
「男の子たちってさ、いいよね」
「え?」
突然そんなことをいわれて、きょとんとした目をして、その真意をうかがう。
「私、何も知らされてなかったのに、あなたが助けたんでしょ、前、ここに生善さんが人質になってた時だって……」
セイヤは、なんとなくカノンの言いたいことを察して、すぐさま否定しにかかる。
「いや、それは違う、今回は全く違う話なんだ」
「じゃあなんで一緒にいたの?私はクレンから何も聞かされない、幼馴染なのに、心配なこととか、迷っていることとか」
「……」
「クレンはどうして退魔師みたいなことを再開したんだろう、私があの時わがままいったからなの」
何も言えずクレンをみつめるセイヤ、しばらくして、カノンのほうをみると、カノンは涙ぐんでいて、セイヤは青ざめて、しかし彼女の為を考えて、言葉を紡ぎだそうとした。
「違うんだ、今回は本当に偶然で、それにクレンは迷ってたんだよ」
「さっき話してたことと関係あるの?」
「え?……」
そこでセイヤは、生善からクノハに伝えることは自分にまかせるときいたことを思い出し、正直に話すことにした。
「退魔の面?」
「そう、そういうのがあるらしくて……」
「あれ、クレンがかっこつけてつけてたわけじゃないんだ」
「……?カノンって、クレンがつけてるところ見たことあるのか?」
「あ、そっか、セイヤが越してきてからすぐに退魔師をやめたものね、セイヤはあまり知らないのか……」
カノンはハンカチをとりだし、目にたまった涙をふきながら、話はじめた。
「クレンは昔、ヒーローだったのよ、仮面をつけて、退魔の仕事をする、けれど見返りも求めないし、退魔の仕事をしている自分はまるで別人のように扱っていて、だからその謙虚さから、彼を頼る人は多かったわ、不運な人、霊に憑かれた人、霊感のある人、死んだ人と会話したいひと、クレンは、多くの依頼をこなしていた、私がみても過剰だと思えるほどに」
「……」
「でもそんなクレンにすら嫉妬する人も多かった、あなたのいう“退魔の面”がかっこつけて敵に食わないとか、その謙虚さがむしろきにくわないとか、それでいじめられる事も多かった」
カノンは、膝をかかえて、まっすぐ前をみて、話をつづけた。
「それでもあいつ、笑うのよ、何があっても、恩を仇で返されたとしても、いい事をして人にうらまれても、まるでそれが天職みたいに、それが変わったのはあの時からだったわ」




