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共闘

「でも……」

「いや、いまはお前の相手をしている暇は……」

「そうじゃない、あの女」

「!!」

 セイヤが指さし差した先を振り返りみた瞬間だった。暗闇に隠れていた女が、クレンめがけて突進してきた。

「うわああああああ!!!」

「武器をもっている」

「いや、あれは……」

 女が持っていたのは、持ち方こそそれに酷似していたが、ナイフや刃物ではなかった。板状の何かで、クレンはそれに見覚えがあるようだった。

「あれは“吸収札”外法のひとつだ、人の法力を吸収し、封じ込めるためのもの、叫びながら打撃を加えると法力が吸われ、人畜無害の気に代わる、だが行使者や退魔師への負荷が高く、禁止されたものだ」

「ヤアアー!!!」

 セイヤが叫ぶ。

「よけろ!!」

 クレンからみると女性の突撃は的を得ておらず、姿勢も、付きも走り方もむちゃくちゃだった。なぜこの女性が、こんなことをしているかわからないほどに。だが、問題は女性の後に攻撃を加えてくるものがいることだった。

「クシャアアア!!」

「ぐああああ!!」

 女性の攻撃をよけたはいいものの、悪霊の対処まではできない。悪霊が女性の直ぐ後ろからしのびより、女性が突進したあとに追撃をあててくる。

「クレン、俺……」

「なんだ、いまとりこみ中――」

「あの人なら、対処できる、それにあの札、もしかして普通の人間には意味がないんじゃ……」

「!!だけど、お前にそんな危険な真似」

 セイヤは、少しうつむいて語りだした。

「俺、あの時、幽霊がこの目で見られるまで忘れてたんだ、俺は昔、幽霊がみえた、けれど、霊的な力を持つことを両親に期待されすぎたせいで俺は、見えないように見えないように力を封じてしまったんだ、それが再び、それも突然見えるようになって、俺はうれしかった、俺は、お前の世界を見ることができるようになってうれしかった……少しくらい力添えをさせてくれ、親友なんだから」

「……無茶するなよ」

「ああ!!」

 セイヤは気合をいれて立ち上がると、女性に向かって突進した。

「チィッ!!」

 悪霊はセイヤと向き合う。

「チャンスは一度だ、クノハ、いいな?」

「ええ、いまですわね!?」

「ああ、合図をしたら頼む、まずお前の力を使う……」

「はい、クレンさま!」

 クノハは目を閉じる。

(心当たりのある恩、人間への感謝の念は残りわずか、けれどここで使わなければ、クレンさまをお助けできない、それにきっと、まだまだ、私は力を蓄えているはず、でなければこんなに長い間この世にとどまることはできなかったはずだから)


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