秘密
「クレンさま、私、実は生善さんのことで黙っていたことが……」
その何かをいいかけたクノハの口をクレンがふさぐ。
「いい、いまは……その事実に耐えられそうにないんだ」
「クレンさま……」
今までになくクレンは落ち込んでいるようにみえた。
「そうですね、クレンさま、ただ私にまかせてください、今はいえないですが、たった一度だけ、あなたの力を引き出すことができるのです、あなたもよくご存じのはずです」
「それってどういう、お前は……ツクモ霊じゃないのか?」
「ええ、ツクモ霊です、それについても朧気であったため真実を言えなかったのです、ですが今はただ信じて、あなたの心の準備ができたとき、すべてを話ますから」
クレンは、苦々しい顔をしながらも、コクリとうなずいた。
するするとクノハはクレンにまとわりつくように、しかし嫌な感じはまるでなく、まるではごろもを背負うようにクレンにかぶさった。クレンは、クノハの記憶や、気が自分と交わるのを感じた。
(これも、この霊の特性なのか、それともやっぱり……退魔の面と関係が……)
「チャンスは二度です、私がクレンさまの力をひきだし、それで悪霊をひるませるのが一回、私の九十九霊としての力を使うのが一回」
「わかった、だが、ちょっとまってくれ」
クレンはおもむろに、セイヤに近寄り、その仮面を外した。
「プハッ……クレン、お前なんでここに、ていうか……俺はなんでここに?俺
、何してたんだっけ?」
セイヤは当たりを見渡す、何が起こっているかまるで分らない様子だ。
「……セイヤ、話はあとだ、今はおれを信用してくれ、俺の後ろに隠れてろ」
「あ、ああ」
いつになく真剣なクレンの表情と言葉に、セイヤはおずおずという事をきいた。
「ギャアアアー!!!」
悪霊が悲鳴をあげている。セイヤがつぶやく。
「あいつ、あいつだ……あいつがクノハだと思ったのに、あいつが突然、俺の部屋に現れて、女の子の姿から、突然異形の化け物に……変身して、乗っ取られた!??」
「セイヤ、詳しく説明している暇はないが……おそらくあいつはすさまじい悪意の塊で、お前に見えるほどに強力な悪霊だ、お前に物理的な害を与えるほどにな……」
「ギヤアアアアア!!」
悪霊が叫ぶ、セイヤは自分の手に握られているナイフに気づき、それを手放した。
「俺は……俺はただ、見たかっただけなのに、なぜこんな……、まさかお前を……」
「反省はあとだ、お互いの事を信頼できないほど、浅い仲でもないだろう?」




