戦闘
その様子をみて、コンビニの影から様子をみていた“カロマ”とよばれた女性が電話をしている。
「シノメ……“従者”というのは……あなたのクラスメイト、それにあの子を襲っている悪霊は……あれは?」
「そうよ、お姉ちゃん、完成したの“アクマモドキ”悪霊融合体、人工的な悪霊よ」
クレンはその間も悪霊に追い込まれている。悪霊の攻撃はその力が強ければ強いほど現実に影響を及ぼすが、最も恐ろしいのは“精神ののっとり”だ。幸いセイヤのほうは、仮面が呪符のような役割をして操作されているにすぎないのだが、クレンのほうは、もし法力が強力なクレンの体が乗っ取られ悪用されたなら、人間界や霊界ともに甚大な被害を及ぼすだろう。
「アクマモドキ……」
「私は、一体の強烈な恨みを持つ霊魂を核にして、雑多な世界に恨みをもつ霊魂を合成していった、そして彼女の物語を“捏造”し、さらに強力な悪意をもつ霊魂にした」
「どうしてそこまで……」
「……どうして?ですって?このアマ!!!」
一瞬、電話口の彼女がはいた言葉の強さと攻撃的な様子に、カロマはたじろいだ。
「恨んでいるからに決まっているじゃない、あんたも、この世界も、何もかも、裏切られ、踏みにじられて!!!」
「ごめんなさい、シノメ、シノメ……私は……」
カロマは強く目をつぶって謝罪した。
「……まあいいわ……あなたはだまってみてなさい……退魔師なんて、ねじ伏せてやるんだから……デゲスさんのいう通りに」
「アアアア!!」
悪霊は叫びながら、鋭い爪でクレンに切り傷をつける。物理的に干渉できるほど強い悪霊だ。
「フッ!!!!」
クレンもまけじと、気をまとい、そのつめをふりはらい、はじいたりする、だがキリのない攻防だ。その悪霊の霊力はとてつもなく強い。
「クレンさま!!」
動揺するクノハは、手も足もだせなかった。なにより今目の前にしている悪霊は、これまでとはわけが違う、明らかに異質な“悪意”“怨念”の塊のようで、その怨霊自体の意思すらはっきりとしない。
「クノハ……大丈夫だ、チャンスをまて……お前の力を借りたいが、いまじゃない、俺が合図をしたら、俺に力をかしてくれ……」
そうはいったものの、クレンにはこの悪霊に対処する力が自分にないことはわかっていた。調査に夢中で法力を仁丹にためておく余裕もなかった。たったひとつあるとすれば、チャンスをつくって引くことだけ。だがセイヤもいる。
(セイヤが乗っ取られそうになった時、クノハの力を使う、俺はどうなっても……)
「クレンさん!!」
ふと、悪霊と距離ができたとき、クノハがさけんだ。
「クレンさん、何かよからぬことを考えてませんか?自分だけ犠牲になろうとか、そういうこと」
「い、いや、どうして?……」
「私は、人の悲しさや、やさしさがよくわかるのです」




