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手の中の景色

 クノハを完全に信用しきっているクレンは、その行為が意味するものを理解して、それでも、まるで猫の手を借りたいように手を合わせた。一般的に正しい霊か悪い霊か完全にその霊を理解していない時に行う“気かよわせ”は避けるべきだ。なぜならそれが悪霊とである場合、簡単に呪われ、簡単に取りつかれる可能性があるからだ。「ゾウサザンソウ」

 クレンが呪文をとなえる、二人の手の間に熱くて黒いものが走った、それは凝縮したイメージ映像のような、それを二人が感じると同時の声をあげた。

「いてっ」

「熱い……」

「いや、大丈夫だ、できるだけ“霊の人影”をみたところまで……」

 クレンの中に、寺と蔵の映像がながれ、幾日か分の記憶映像が流れる。

「そうそう……」

「あの……クレンさん」

「あ……みえた」

「クレンさん、私も」

「な、なんだこれ……」

「?」

 クレンは、その映像の中で寺に出入りして蔵を眺めているある女性の姿をみたのだったが……それが、あまりに衝撃だったので驚嘆したのだった。

「クレンさん?情報はえられましたか?」

「ああ、うん、色々ね……ヒントになれそうな情報もあった、この情報をもとにもう一度あいつの気を見れば……」

「あいつ?」

「い、いやあ、こっちの話、それよりクノハ、何か途中でいいたそうだったけど」

 クノハは、クレンと気を通わせたときにまるで簡単にクレンの中に入っていけそうなほどにクレンの過去を思わせる透明なクレンの幼少期の体をみたのだが、それに手を伸ばしたところ、その記憶の一部が浮かび上がってきた。それは、夕暮れの教室、クレンさえも忘れているであろう記憶、カノンとある女性……

「い、いえ、なんでもないです」

 その記憶の意味をはかりかね、そして覗いたことを責められたくなかった彼女は、そのままそこで見たことをだまっていることにした。

 

 夜、生善と食事をしているクレン。

「それでなー、そのドジな亡霊、何もしてないのに俺の顔をみるなり、ひえー勘弁してくだせえ!!って、それじゃまるで俺が悪霊みたいじゃねーか」

「……うん」

「……」

 クレンは、生善の話をぼんやりと心ここにあらずといった感じで聞いていた。生善は、疲れているのかと気を使い、苦笑いをして、その話を適当に続けるのだった。


 その後クレンは風呂をでて宿題をやったあと、通話をつなげながらFPSゲームをセイヤとともにやっていた。

「やったぜ!!チャンポンだ!!」

「イェー!!」

 一度、そのゲームで勝利を収めた後のロード時間に、セイヤが妙な事を口走る

「クノハをみたぞ」

「またまたー何いってんだよ、お前ゼロ感じゃねーか」

「いや本当だって、明日証拠でも教えてやるよ」

「もういいって……あ、ほら、敵敵!!囲まれてる!」

「うおおお!!」

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