悲劇
河童がクレンに近づいてくる、怨霊に取りつかれた人間に襲われて、反撃したところをクレンに目撃された。ほかの退魔師だったら、反撃した時点で河童を倒すこともあっただろう。だが、クレンはそうしなかった。おしゃべりな河童で、寝息がカーカーとうるさいのでカーちゃんと名付けた。
化け狸もクレンに近寄ってきて、勢いよくころがる車輪に化けたかとおもうところころ転がって、クレンにぶつかる寸前のところで、もとの狸にもどってクレンにだきついた。しかし、抱き着いたかと思うとフン、とそっぽをむいた。この狸は、いたずら好きすぎて、ある農家の家族を脅してばかりいたが、しかしその代わりに妖術によって農家を時折手助けしていた。農具がないとき農具に化けたり、食べ物が足りないときに魚を取ってきたり、しかし、あるときその村で盗みがあったときにいじわるなその家の長男に、犯人として突き出され、村を逃れさまよいつづけていたところをクレンに見つかった。退魔師の中でも有名な古だぬきだったが、クレンは彼の話を信じ、実際彼の気から悪しきものを見出せなかったためかくまった。
そしてその時、もう一人、そのとき新しい亡霊をその場所に招いたところだった。
「私、迷惑をかけてしまうかも」
ソネコというこの亡霊は、クレンの町に住む、とても謙虚で慎重な亡霊で、死んでからも信号だのを守って、わたっていて、成仏するための手段を探していたのだが、あるとき、自分の庭で、子供が赤信号でわたっているところをみつけた。どうにか助けられないかとその赤ん坊にとりつこうとおもったが、一人の大人の男がその子を助けようと同じようにとびこんだ。だが男はせまりくる車に気づいておらず夢中だった。そのとき亡霊は男にとりつき、なんとか二人を救出して、一安心。だがその瞬間を、霊能者に目撃され、誤解をされたのだった。
【あの霊が人を殺そうとした!!】
丁度、その霊能者にクレンの寺が相談をうけたが、クレンにすべてはまかされた。クレンは、事故にあった当人たちに合い、残留思念から霊のいうことが正しいと考え、かくまうことにした。なにせその霊能者はそこそこ有名な人でかつ自信家だったために、彼女が悪霊だと信じて疑わなかったし、周囲にもそういいふらしていたためだった。
クレンはこの修行場でこうして霊たちを囲うこともあったが、さらに、除霊の中で悪意ないと考えた亡霊を逃がすことさえあった。それが、母の死につながろうとは、考えてもいなかった。




