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男の記憶。

「まさか、俺がここにいることをしっていてこんな事を……彼女は、“サノン”は?」

「何の事をいっているんだ?」

「そんなわけはないか、彼女は……不必要な“いわくつきの呪物”をどこかに捨ててくるといっていた、要するにこうやって放置していたのだろう、色々な寺に……」

「なあ、あんたの記憶をおしえてくれ、ただ俺と同じ要に座禅をくむだけでいいんだ、そして俺に記憶を見せると同意するだけでいい」

「……」

 男は、うつむきその目をみせると赤くはれていることがわかった。

「これをおいて言った人間に心あたりが?」

「とてもやさしい女だ……まるで人の罪を自分で背負うように、彼女はきっと“誰か”のためにあんなことを、呪物を……集めて」

「それで、どうする?」

「ああ、やるよ、お前と同じ格好をするだけでいいんだろう?」

 男は座禅をくんで、その正面でクレンも座禅をくんだ。そして目をつぶる。すると頭の中に記憶や、影絵のような光景が流れ込んでくるのがわかった。

「……なあ、なんでもするよ、君のような優しい子は初めてなんだ」

「私も、あなたの事は気に入ってるの、でもすべては私の意思じゃないわ、あの方と、あの子の……私の身内の願いなのよ、私は贖罪をしなければいけないの」

「やっとうちに来てくれるようになったし、こんなに君ごのみの家具をそろえたのに、まだ恋人になってはくれないのか?」

「ごめんなさい……あなたにすべては打ち明けられないの、私には、幸せになる権利はない」

 そういって、女が部屋からでていく。男は小声でつぶやいた。

「小さなころから、俺はまともな特技も長所もなく、だからようやくみつけて、自身がついて、いい女とであって……それなのに、幸せになる権利がないだと!?そんなウソまでついて、距離を取られるなんて……」

 男は件の壺をみた、机の上にそれはおかれていて、視点は壺から見る男の形に変わった。

「こんなもの、壊してやる!!あんな女のためにもう、何もしてやるものか」

 そういって壺を持った手を振り下ろそうとする男、しかし、すんでのところで、それを両手でかかえ、元の場所に戻した。

「どうしてなんだ、母にも姉にも冷たくされ、嫌がられ、邪見にされてきた俺が、唯一まともにとりあってくれるよい女に巡り合えたのに……いや、わかっている、わかっているのだ、結局俺は、カルマテイカーとして、あの女の手足になっている、なっているだけだ、結局何も変わりはしない、自身がないから人につくし、人の顔色をうかがって、あの女と、俺は同じだ」

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