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看病

「フン、まあむきになるな、単なる冗談さ、これもお前が“カルマテイカー”になるための試練だ、この試練でお前の鬱屈した日々も終わりをつげる」

「……」

 なぜだか女はそこで静かになると、ため息をついた。

「はあ、もう切るわ、私はあいつがどうなったか探りをいれる、私の駒だから、あんたたちもカルマなんとかも完全に信用したわけじゃないのだから」

 女はそういって電話をきると、やがてベッドにこしかけ、もう一度ため息をつくとつかれたようにうつぶせになりベッドに体すべてを預けた。その体はまだ幼く小さいもののようにみえた。


生善「ふむ……」

クレン「……」

カノン「うーん……」

 畳の小さな部屋に、布団がしかれ、男がぐったりと寝込んでいる。頭にはぬれたタオルがおかれ、仰向けに寝かされている。生善はどうしたものかと首をひねって、あごにてをあてている。


数時間前、クレンは帰宅のときいつもより静かな声で、声をかけた。

「ただいまー」

「おー、おそかったな」

「こんばんはー」

「あら、カノンちゃんもいっしょか」

「いや、父さん、カノンだけじゃないんだ……ちょっと厄介なことになって……」

 いつもより元気がないとおもってクレンの顏を覗きにいった休憩中の生善、クレンはどんよりした表情で、その男を背負っていた。

「父さん……ごめん、何から説明したらいいか……なんていうか“力を使いすぎた”みたいで……」

「お前、喧嘩したのか?」

「違う……断じて違う、正当防衛だ、こいつは“カルマテイカー”だと名乗っていた、兄さんの名前も知ってた」

「……」

 ギクリ、とする生善

「それで、他に何かいっていたか?」

「いや、何も……それより父さん、この人は俺の気にあてられたみたいだから、気が除去するまで、家で世話するしかないよな」

「うーむ……」

 放っておけ、といいたかったが、クレンのやさしさを無碍にするのも、親としてどうしたものか、と悩んだ生善は、仏の心をもってその男を介抱することにしたのだった。


 現在、重苦しい空気の中、カノンが口をひらく。

「やっぱりおかしい、病院につれていって、そこで看病すればいいじゃない」

 生善がこれに堪える。

「いやあ、怪しまれることもあるから、それにどう見たってこれは体が正常なんだ,

それに自分でいうのもなんだが、熟練して、おちついた気の除去が必要だ、悪ければ意識が戻らないこともある、原因不明とされるだろうなあ、結局家で看病するのが最善だろう」

「そんな……」

 カノンが落ち込む。クレンをみて、生善がひとこと。

「うーん、きをつけろとはいったが、これは、気合をいれすぎたな」

 そしてクレンの肩をたたいた。

「無理もない、あんな事件があったあとだ、あとは俺にまかせろ、もう遅いから、カノンちゃんを送っていくといい」

 そういってその日は静かに終わった。

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