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緊急対処

 その状況が生まれたのは、クレンが手を伸ばし丁度男に正常な脈がある事、男の気が正常にな全体を回っていることを確認し、男の意識だけがクレンが与えた強烈な気によって一時失われていることを理解した瞬間だった。袋小路から路地裏の入り口に目をやる。そこには、棒立ちになって、たったいまショッキングな映像をみて身動きのできなくなったような形のカノンがいた。

「レ……レンちゃん、何しているの?」

 彼女のおだやかな性格と天然チックな部分には助けられたりするが、こういう時は別だ、騒がれたり、理解されなかったときは大変なことになる。なにせ、説明のしようがない。原因不明の力を使い、相手が気絶しただの、意識を失っているだの、病院にも説明しようがない。さらに問題なのは病院では対処などできない事だ。

「カノン?なんでここに?」

 クレンが苦笑いで、説明しづらいいくつもの状況に内心焦りを抱きつつ質問する。

「なんでって、なつかしくなって」

「お、おれもそうなんだ……そうだな、何から説明したらいいか……おれもここにきて懐かしんでいたら、正当防衛なんだ!!襲われて……力をつかった」

「人間に?」

「い、いや勘違いするな!人間につかったんじゃない、彼は悪霊使いだ……人間に直接気を当ててもこうはならない」

 ひさしぶりに能力をつかったが、それがおもったより強力で彼を気絶させてしまった事を早口で説明する。カノンはわかっているのかいないのか、微妙な表情でその説明を聞いていた。


 一方その頃、薄暗いホテルのある一室で、顔の見えない女性が、スマホのチャットツールレインをみながら、独り言をつぶやく。

「なぜだ、なんでもどってこない?奴にやられたのか?……もうこんな時間じゃないか」

 そんなことをつぶやきながら、部屋をぐるぐると歩き回り、もう何週もしている、相当、焦っているようだ。

「まあいい、弾ならいくらでもある」

 そうしてふと立ち止まると、決意したようにどこかに電話をつなげた。

「私だ、なあ、あんたの言う通りに奴に攻撃を仕掛けたぞ」

 電話の向こうの声ははっきりとはきこえないが、相槌を打っているようだ。

「だが、帰ってこないんだ、何かあったんじゃないのか?まさかすでに奴は悪霊使いの能力をみにつけていて、襲われたとか」

「ハハ、ハハハハハ、そうか、それはよかった」

「おい、お前の言う通りにやったんだぞ、何かいうことはないのか」

「ああ、すまない、ありがとう、だが大丈夫だ、笑ったのは君が人の心配をするなんて意外でね」

「人の心配じゃない!!私には私の計画があるからだ!」

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