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少女の迷い

「ぐああ!!」

 クレンは逃げようとした、がその奇妙なフェイントのせいで、逃げられなかった。薙ぎ払われた時にムチがあたった向かって右側のクレンが本物だったのだ。それと同時に幻影は消えた。力尽きてクレンはその場にへたり込む。

「クレンちゃん、あなたの兄、デゲスさんに相当な強さだときいたけど、こんなものだったのね……」

「……」

「ヒーローを気取る力、願いをかなえる力、人を屈服させる力、その力が、この程度だなんて……笑えるわ!!!」

 シノメはクレンを見下げ、そしてムチを回収しサーベル状にもどし、ふりおろした。

「死ね!!!」

 クレンは、振り下ろされるサーベルをじっくりとみていた。そして、すぐ自分の肩まで来た時に肩に気をためて、よけ……るどころか、そのまま肩でサーベルを受けた。動揺するシノメ。

「!!!??なぜ!!?」

「やっぱり」

 クレンはズキズキと痛む肩をさすりながら、シノメの行動を分析した。

「太刀筋に迷いがある、そして、何度もチャンスがあったのに退魔師の急所を外している、なぜなんだ?委員長?」

「!!!」

「あんたは、何か迷っている、何を迷っているか教えてくれ」

 クレンはサーベルをにぎり、ところどころにある鋭さに血をながしながらも、にぎったまま、シノメに近寄る。

「しるかあ!!」

 サーベルを帯状に戻すと、手元に戻し、シノメはいったん距離を置いた。クレンは思考を巡らせる。

(考えろ、クレン、普段の委員長の違和感を)

(―友達が心霊関係で困っているといっていた)

(―そういえば、親友といえるほど仲の良い子はいなかったように思える、どこか人と距離をおいていたし、深くつるんだり遊ぶことを控えているような)

(―なぜだ、なぜなんだ?)

(―白の退魔の面、退魔の面の力の原理は、そうだ、すべて“鏡写し”制御しきれず自分の意思を仮面に使われ、妄想を抱くなら、その力に引っ張られるはず、確かに、人を助けるために苦い顔をしていたけれど、本当にやりたくないからなのか?もしかして“委員長には、自分のやさしさや行動に後悔があるんじゃ?姉へのあの態度と正反対の何かが”)

「クレン……あなたは、私の苦しみを理解してくれなかった、死ぬには、殺すには十分の理由だわ、結局ヒーロー気取りの奴なんて、私みたいに、姉に裏切られ、何も得られず皆に裏切られ母親に裏切られ、また姉に裏切られ」

「……?」

「そんなに死にたいならしんじゃえ、あんたも!!」

 そう叫んだ時に、シノメはクレンの退魔器官をめがけて突進と突きを放った。クレンがよけられそうにないほどに早く、丹田付近を。

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