気合
まじまじと見ると、クレンと思われたそれは、まるで雲が霧がさけたようにぼんやりとした残像をのこしながら、避けて消えていた。
「――!!?」
「こっちだよ」
真正面から声がして、残像越しにクレンをみる。クレンはまだ、生善とカノンをかばってたっていた。
「な、何」
「気の幻影」
「くそがっ!!」
だがそう吠えた瞬間に、今度は本当にクレンが突進してきた、ゆっくりと、だがそれは丁度二人の間の半分ほどの距離に達すると、数人にわかれて、同時に突進をしてきた。
「ぶ……分身!!!?」
「フフ」
クレンは、その術を使いながらも気が付いていた。チャンスは限られていることを、複数の分身を別々に動かすには結構な気がいるが、相応の思考も必要だ。相手はリーチの長い武器を持っている。その間に相手の特徴を見抜かなければ。そしてクレンの考えは的中する。
「ハアアッ!!!」
シノメは、長いムチのようなサーベルをさらにのばして、横に薙ぎ払った。
「チイッ!!」
(一回目!!)
クレンは心の中で数えた。すべての分身のクレンは、しゃがんでやりすごした。だがこの大味な攻撃と回避が続くわけもない、相手はきっと工夫してくるだろう。それも的中する。
「セイッ!!!」
ふりきったサーベルを今度は逆にふって、右端のクレンにまきつけようとした。右端のクレンはすんでのところでよけたが、サーベルはそのまま傍らの木に、まきつき、ひとつとなりのクレンに襲い掛かる。
「しまった!!」
それはクレンの分身で、残像となってきえた。のこされたのは4人のクレンだった。サーベルを回収したシノメは、今度は地面にサーベルをたたきつけた。叩きつけられたサーベルは上下にカクカクとバウンドしながらつきすすんだ。クレンは横なぎを想像していたのであっけにとられ、突進してくるサーベルの切っ先に一人がやられ、バウンドが止まった時、また横に薙ぎ払われたが、その時タイミングがあわずまた一人薙ぎ払われた。
「くっ!!」
クレンが苦い顔をすると、シノメはにやにやとわらった。二人になったクレンはシノメの前でクレン同士お互い距離をとっている。シノメは、サーベルをかまえて、クレンの急所を定めるように狙いをさだめた、そして突きを放った。しかしそのツキは、サーベルだけでなく、自分自身も突進するような突きで、意表をつかれたクレン。向かって左側のクレンの顔面直ぐ傍にサーベルの切っ先が迫る。そしてクレンがバク転をする。しかしその瞬間、切っ先をおさめ、またシノメはサーベルをムチ状にして、横に薙ぎ払ったのだった。
(フェイント!?)




