退魔の面。
「そんなの知ってるんだよ!!」
シノメは、力を強める。だがクレンはその勢いを完璧に気の力で封じた。
「いや、わかってないよ、この力は、分析してどうにかなるものなんかじゃない……この力は節理だ」
「何をいっている?」
「さっきも見ただろう?気をはじき返したのを、あれもひとつの“性質”だけど、もうひとつの性質は、邪の気を引き寄せ、吸収するということ、その法則は変わらない、今まで何百年と研究されつくしたが、退魔の面は、陽と陰のはざまに位置して、たまたま人の味方をしているだけのものだ」
「そんなの、わからないじゃない!!」
「いや、わかるよ、そもそも君だってわかっているだろう?君の姉さんからも聞いたし、父さんと母さんがこっそり兄について話している時に聞いたことがある」
生善が反応する。
「!!クレン」
クレンはかまわず続けた。
「カルマテイカーのつくる“白き退魔の面”のデメリットは“自己暗示”と“妄想”もとの願いを強く抱きすぎたために、その過程をすっとばし、かなえるための方法を“自己暗示”や“妄想”で塗りつぶしてしまう、君はなぜだか“退魔の面”は分析でき、カルマテイカーの使う武器になると思っている、だが無理だ、なぜだかこれは陽の気しかうけつけない」
「なんでだ!!卑怯だろ!!」
「卑怯なものか、退魔の面は“人を選ぶ”良きことをして人を助けるものに、いや、その行為そのものを許しているにすぎない、決して自分の為だけに使える代物じゃない」
「くっ!!」
クレンにささったツメを抜き取ろうとするも、抜き取ることができず、仕方なくシノメは爪を根で“パキッ”と折って、距離をとった。クレンは、ツメをひとつずつぬきとり、地面に突き刺していった。そして、呼吸をととのえ、呟く。
「治癒呼吸法、“岩隠し!!”」
そうつぶやくと、みるみるとクレンの体に刻まれた切り傷が修復されていく。
「くそが!!!!」
シノメが叫び、そしてふたたび大きく息をすいこんで、叫んだ。
「くそがああああ!!!」
その衝撃は邪気をまとい、通常ではありえない衝撃波をつくり、突風となりクレン達を襲いかかる。クレンが両手をかかげたため、その後ろのカノンや生善には何の危害もなかったが、かばったクレンは擦り傷とともに服がやぶれ、上半身は露わになった。
「なっ……」
シノメは、息をのんだ。クレンの体がまるで迷彩柄のように傷だらけで、それも、古い傷ばかりではないつい最近ついたような生傷さえもみられたからだ。
「!!?」




