逃避と遭遇。
クレンとセイヤ、クノハは、戦闘地域から一度退避した。しかし、クレンはわかっていた。
(逃げ切れるはずもない、きっと気をおってすぐに追いつかれる、その前に、親父と合流しなければ)
「クノハ、この道であってるのか?」
「……きっと」
「きっとって」
「いえ、暗闇でわからなかったもので」
「……」
ふと茂みから、奇妙な足音がした。あきらかに人のものと思えるそれだった。
「誰だ!?」
「……」
暗闇から姿を現したのは、サノンだった。
一方その頃、生善は、カノンにつれられて、先ほどまでクレンたちのいた戦場へと向かっていた。
「クレンに、クレンに伝えなければ……」
「……何をですか?」
「ああ、話しづらい事なんだ、だが……クノハには伝えようとしたんだが」
「今はいえないんですか?」
「“歯車”が狂う可能性がある、彼女もそれに飲まれた“歯車”が狂えば、彼女がそれを大事にした意味がなくなってしまう」
カノンは眉をひそめて、その言葉の意味を考えようとしていた。その時
「キャハハハ!!クレン!!これまでだな!!」
先ほどまでクレンたちがいた場所から、女性の甲高い、くるったような笑い声が響き、急行する。
「急ごう」
「はい!」
そして暗闇、けものみちのような場所から顔を出すと、女性と一人の霊がこちらをみて、にやにやとしていた。彼女たちは、ただのドラム缶を踏みつけ、それをクレンに見立て、狂気乱舞しているらしかった。
「アッハッハッハハー!!」
シノメが笑い、続ける。
「奇妙な気配があったとおもったら、まあいいや、“デゲスからの簡単な試練”だったし、親子まとめて地獄に送ろうか」
「君は……デゲスを知っているのか?」
「ああ、あなたたちはよく知らないけれどね、あの人の優しさと心の広さを……この“試練”を乗り越えたら、私はあの人と同じ“カルマテイカー”になれる、そして、報われない思いを持つ人を、助けるの、退魔力、もしくは“魔力”を使い、助けるのよ」
一方、クレンの前に立ちはだかったサノンは、思いがけず、怪我をしていたようで、腹部を抱えていた。そして倒れこむのだった。
「大丈夫か!!」
「……私は大丈夫、ただのかすり傷、もともと体調が弱いから、それよりもあなたに伝えておかなければならない事があるの、もっとも、あなた自身があなたの“試練”を乗り越えなければ、気づくことができないだろうけれど、あなたはきっと、ブランクの期間ずっと怠けていたわけじゃない、だから今からいう事をよく聞いて」




