クレンとクノハ。シノメの目標。
「クレン……でも!!」
戸惑うセイヤ、しかしクレンは叫んだ。
「頼む!!」
「……後悔するなよ!」
セイヤは少し引き下がる、そして暗闇から徐々に疾走し、ついにクレンのすぐそばまでくると、クレンにタックルをした。
「くはっ!!!」
「!!」
さすがのシノメも驚いたらしかったが、ともかく、シノメの拘束から逃れることはできた。
「クレン!これからどうするんだよ!」
セイヤは両手をひろげクレンをかばいながら横目に後ろを覗く。
「いちかばちか……」
「それはまずい!!」
セイヤが叫ぶと同時に、セイヤは、自分のすぐそばを何か異様な“気配”が通りすぎていくのを感じた。
「クレン様!!」
「クノハ!!!!」
「!?」
セイヤには見えなかったがどうやらクレンに助けがきたようだった。シノメが、セイヤに呼びかける。
「セイヤくーん、いくらあなたといえど、私に攻撃されたら、心に深い傷を負うわよ?」
「くっ!!クレン!!」
クレンは、集中して何かぼそぼそと、クノハと話していた。
「それで?父さんが来てるのか?」
「ええ、もうすぐ到着するでしょう、でもいったんここは引いた方がいいです」
「何で」
「お話があるのです、それに、何か妙な違和感があるのです」
「そうだな……」
そういいながらクレンは当たりを見渡す。
「?」
「どうしました?」
「姉の、サノンの姿がない」
「ク、クレン!!」
みると、セイヤはシノメに腕をつかまれ、ギリギリと鈍い音をたてていた。
「クレンにげろ、こんなことはのぞんでない、俺が身代わりに!!」
しかしクレンは何をおもったか突然全力疾走して、今度はセイヤに後ろからタックルした。倒れこむセイヤと、それよりも嘘のように吹き飛んだシノメ。
「フ……フヒッ……カッ、ハッ」
呼吸が落ち着かず胸を掴む。助けをもとめて、悪霊を呼ぶ。
「ヨギ!!!ヨギ!!!アア!!!ウガア!!ダスゲ……」
「ああ?なんだって?聞こえねえよ、まったく、あんたのおままごとにつきあってりゃいつまでたっても争いが終わらねえ、何を“期待”してんだ」
「あの、あいつらが……フッ……ハア」
ヨギが傍に落ちていたシノメのカバンから、小さな水筒をさしだす。
「はあ!!ゴク……ゴク!!大丈夫だ、なんとか、治った」
「あいつら、どこかへ逃げたぞ……」
「大丈夫……必ずわからせてやる……クレンに、あいつに、ヒーローごっこのかっこつけなんて何の意味もないってことを、姉が私に与えた絶望と理不尽を、そしてこの試練を終えて“カルマテイカーに”」
ヨギは、そのシノメの様子を、まじまじと見つめ内心おもっていた。
(どこまで本気なんだ、こいつはよ)




