カノンと戸惑い。
「すべて話しておくべきだった」
カノンは、黒い影が見覚えのある地味な僧侶の格好であることに気づき。それが誰だかわかった。暗闇から顔をだしたのは、クレンの父、生善であった。
「何のことです?」
「すべてだ、すべての事だ……私は、彼を、クレンを追い込んでしまった、隠し事をして……妻の事を信じていないわけではないが、これではあんまりだ、彼はきっと私を心配して対処したが、これは……必要な試練じゃない、こんなのは……」
カノンは、クレンの父の動揺した姿に自分も、様々な不安がよぎった。
「私も……レンちゃん、クレンには助けてもらってばかり、なのに私は何もしてあげられなくて、相談にも、今もきっと本当は迷っていたり、苦しかったりするはずなのに、一人で抱え込んで……」
「……」
生善は、カノンをまじまじとみあげる。呼吸があらく、ここまで走ってきていたようだった。
「だからお願いです、クレンを助けてあげてください」
生善はこぶしを握って、姿勢を整えた。
「ああ」
一方、クレンとシノメは戦闘の最中にあった。
「クレン!!」
セイヤが叫ぶ。
「大丈夫だ!!!セイヤ」
セイヤは、クレンの様子を背後からじっくりみつめる。クレンが振り返りながらいう。
「この攻撃は、実体がほとんどないものだ、精神や魂に害はあるが……」
「黙れよ!!生意気だなあ!!」
委員長は、さらに鋭くつめをとがらせる。
「ぐああ!!!」
セイヤがシノメに呼びかけた。
「おい!!委員長!!お前どうしちまったんだ、何が目的なんだよ!!」
「簡単だよ!!こいつが、兄の、デゲス様のいう事を聞けばいいんだよ」
「ダレスは?お前とどういう……関係」
消え入りそうな声でクレン尋ねる。
「ダレス?あいつは、私の部下である姉の、そのまた部下だよ」
「……」
「そんなことはいい、どうするんだよ!!」
「断る」
「はあ?……」
ギリギリと、シノメは爪を奥深くまで差し込む。
「状況がわかってるのか?お前」
「お前こそ、わかってるのか?シノメさん、あんたは退魔師協会全部を敵に回したんだぞ」
「んなこと、わかってんだよ」
シノメはうつむき、暗い顔をみせた。同時にまたギリギリと、てをねじり、クレンをいためつけて。セイヤがあまりの状況に、今度はクレンにすがるようにわめく。
「クレン!!クレン!!もういい!!どうしてそこまで我を貫くんだよ!!もういいだろう!!なんでも手伝っちまえよ!!」
「……」
「クレン!!」
「俺は、ヒーローだから、“それらしい動き”が必要なんだ」
「そんなこと……」
「そんなことより!!セイヤ、頼みがある」




