因果、クレンの力
クレンは、うつむく。
「こんな事して何になるっていうんだ」
シノメが得意げに言い放つ。
「クーレーン?」
「??」
「あなたは“嫌々”英雄をやってきたのよね?」
「??どういう意味だ?」
コツコツと足音をたて、シノメはまるで一人ファッションショーをしているようにあるきまわり、振り向いた。
「いえ、ただの提案なのよ?ただ……あなたも望んで退魔師の家系に生まれたわけでもないし、あなたの力だって、あなたの元を望んで生まれたわけではないかもしれない」
「??何がいいたい」
「いえ、ね、たとえおままごとだとしても、私は気に入っていたのよ、あなたとの生活、関係、うぶなあなたが、私のささやきに反応するたびに、あなたの心をいたずらに動揺させるたびに、私は“人に望まれる存在”としての“地位”を取り戻した気がしたわ」
「……」
「それは、つまり、こういうこと“普段のあなた”は気に入っているのよ、私はね“デゲス”さんがどうかはわからないけれど」
「!!兄さんを知っているのか?」
「知っているも何も、あなたこそ、あなたの兄の事をよくしっているのでしょう?兄がかけた呪いの事も」
クレンの脳裏を、あの男の声が響く。
―【お前は必ず、その力に戸惑う日がくる】―
「あなたたち兄弟もずいぶん憎しみあってたそうじゃない」
「だから?」
クレンの問いと、下からにらみつけるような鋭いまなざしに、一瞬、シノメはたじろいだ。
「あ、あんたのための提案なのよ……日常にもどりたければ、あの方にたてつくことなんてしなければ、きっと良い結果がえられる」
「兄さんは、何がしたいんだ?」
「あの方は……私のように、恵まれない人を助けようとしているの」
「恵まれない?」
「欲しいものを人に取られたり、心に弱みをもっていたり、人生の理不尽を体験した人を、手助けしようとしているの、そんな理想を……」
ふと、右手を振り上げ振り下ろし、クレンを睨めつけ返すシノメ。
「そんな純粋な希望を、邪魔する資格なんてある?ないわよね、あの人はきっと、その関門であるあなたを私に倒せとおっしゃったの」
「さっきからさあ」
「?」
「きっととか多分とか、どうしてそんな単純な意思疎通もできないんだ?どんな組織だよ、本当にお互いを信頼しているの?」
クレンは悪魔のような微笑みをうかべた。
「こいつッ!!!」
「あんたはただ、自分の不器用さが受け入れられないだけだ」
「!!?」
「それをただ、人のせいにしているだけさ!!!」




