抵抗
「それだけのために、他人を犠牲にするのか?」
「それだけ?」
「……」
「あなたは、覚えているかしら」
「?」
「昔のことよ」
―昔、私はあなたに憧れていた、皆があこがれるように、この街のヒーローだったあなたに。仮面をつけて、自分の功績を偉ぶることもせず、人のために良い事、正しい事をしていたあなたに。―
「けれど、あなたはこういった“自分で戦え”と」
「それは―」
「覚えているのでしょう?」
クレンには、確かに覚えがあった。かつて彼女―シノメ―に仮面をつけた英雄、無名英雄(クレンの名乗り)の状態のときに、彼女に言った言葉を。
「この広さの川なら渡れるはずだ」
「どうして助けてくれないの?」
「最後は、君の意思だからさ」
「でも、私は……」
彼女は確かに困っていた。手助けが必要なほどに、体力がなく、皆が遊んでいる中で、小さな川幅を飛ぶ遊びだけができない。恐ろしいといった。けれど、クレンにはそれが本当に難しい事のように思えなかった。なぜなら彼女は、川ではなく、距離をとぶ練習では何の問題もなくこなしたからだ。
「大丈夫、倒れそうな時は支えてあげるから」
「本当に?何か問題があれば、助けてくれる?」
「大丈夫、僕はどんな些細な問題も見逃さないよ」
ふと、現実に意識は戻る。
「あなたは、どんな些細な問題をも見抜くといった、けれど私は……あの時すでに、すべてを失っていたのよ!!」
「くっ!!」
クレンはすぐさま、彼女に突進していった。ムチの打撃うけても怯みはしなかった。
「こいつ!!」
そしてすぐさまシノメの後ろを通りすぎると、一直線にある方向に向かった。―セイヤの方だった。―
「おいバカ!!何を!!」
「いいから!!!」
とクレンは人差し指をたてて、静かにするようにセイヤに合図した。
「??」
セイヤは、疑問におもったがすぐにクレンに考えがある事に気づいた。
「フン、クレン、あなたも落ちたものね!!迷わず一人を選ぶなんて、結局英雄なんてそんなもの、ただきれいごとばかり見せているだけ、誰もを救うことなんて、不可能なんだから!!」
クレンは、とんでくるムチをみつめた。そして右手を伸ばす。
《バシィ!!!》
そして、つかんで、真っ黒な目をして言い放った。
「当り前じゃん、すべては意思の問題でしょう?」
カノンは、その言葉を聞いて、うつむいた。
「……」
シノメが言い放つ
「あなたは、あの子に意思がないというの?私は、私はあのとき、たしかに意思が完璧ではなかったかもしれないけれど」
シノメは徐々ににやけ顔になっていった。




