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「くくく」

「??」

 クレンは、シノメに目を向ける。シノメは不敵な笑みを浮かべている。

「何がおかしい?」

「いや、今からが本番だというのに、お前はほとんど力を使ってしまったじゃないか、ふむ、多少残って入るようだが、この状況で私を倒せるほどの余力もない」

 箱は、今度はまたもや形状を変え、今度はシノメにまきついた。悪霊はシノメの力を吸ったのか、また邪悪な気の勢いを取り戻しているようにみえた。クレンはカノンとセイヤが捕らわれている建物の中をみる。薄汚いコンクリートの上に、二人壁にもたれかかるようにしている。

「彼らを離せ」

「ふむ、では私の言う事をきくか?私の言う事を何でも聞き、私の願い、邪悪な気を使い他人の心を支配したり、他人への復讐をかなえるために、カルマテイカーとして生きるか?我々の、仲間になるか?」

「委員長、どうして、カルマテイカーなんかに」

「正確にはまだそうではない、むしろ今、試されているのだ」

「?」

「これこそが、上層部から与えられた試験、お前を脅し屈服させ、我々の手ごまとするか、それとも、私がお前を直接うちまかす、そうすれば私は闇の気をもつ勢力の一員となり、悪魔的な力を手に入れることができる、証拠のない犯罪を行い、口を使わずとも気でコミュニケーションをとり、悪霊を使い、憎い人間に罰をあたえられる」

「どうしてそんなことを」

「決まっているじゃない、“日常が楽になるから”よ」

「どういう?」

「私の生活はとてもつらいものだった、いまだって、昔だって、ずっと仮面をつけて、人の望む事をしてきたし、人の喜ぶことをしてきた、見返りももとめなかったし、自分の優れた部分を使って人に奉仕することは楽しくもあった、けれど、あの日からすべては変わったのだ、姉に裏切られたあの日から、私は真実を理解した」

 シノメは右手を高くかかげ、振り下ろした。

「私がいくら他者に貢献しようと、他者の事を思おうと、愛そうと、それにこたえてくれる他者などいない、私のそれらは都合よく扱われ、用が済んだらゴミのように捨てられる、私は、“都合のいい人間”にすぎなかった、私は今それを変えるのだ、恩を仇で返す人間には復讐を!!私を軽く扱う人間には、罰を!!」

「くっ!!」

 クレンにめがけて、元気を取り戻した悪霊が飛び込んでくる。シノメは再び叫んだ。

「クレン、どちらを助ける?どちらもなんて、怠けたことをいうなよ、あなたは選ばなければならない、カノンか、セイヤ、どちらを」


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