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049.犬と飼い主の人外転生-6

《Side 猫神》

 

 

 トート達の主戦場となる大陸近海までは、ここから1ヶ月程度はかかる。

 

 彼らを追い越し、ケンタウロスに同行しているウラノースの眷属に接触し戦争を中止させる。

 権能を使えば一瞬で終わることなのに、私は動くことができない。

 その結果、ウラノースの前に引きずりだされることを考えると足がすくむ。

 

 逆に彼らを囮にして、別の世界に逃げたらどうか。

 そんなことできるわけがない。

 ワンコを守ろうとするトートの想い。トートを守ろうとするワンコの想い。

 二人を愛する両親の想い。

 そして、その想いを私にも向けてくれた彼らの優しさ。

 いくら神とはいえ、これを踏みにじることはできない・・・・・・



 結局、私にできたのは決断を迫られるギリギリまで蹲っていることだけだった。

 

 

 

 いよいよトート達が戦場に到達するかという頃、その気配が近づいてきた。

 あまりにも巨大で、何度も恐怖したその気配は、気が付けば間近に迫っていた。

 

 

 《お前の方からやってくると思っていたのだがな。》

  

 

 相変わらずの尊大な口調でウラノースは言った。

 

 

 《まあ良い。お前は知らんかもしれんが、ここの獣神は地球からの出向組だ。私の顔も利く。

 お前がこの星に入った時点で捕捉していたが、自分から戻りたかろうと思ってな。あえて泳がしていた。

 もう十分に休めたろう。さっさと戻って仕事を開始しろ。

 今は各星の神に業務を割り振ってしのいでおるが、奴らでは話が進まん。》

 

 

 口答えすらも浮かんでこない・・・・・

 終わりの見えない膨大な仕事に足がすくむ。ここからすら動くことができない私に何をしろというのか。

 

 

 《・・・・・・お前ならここで言い訳の一つも言いそうなものだがな。追手から逃れるのに神力を消費しただろう。私が転送してやる。》

 

 

 まずい、一つだけどうしても聞かなければならないことがある。

 必死の思いで口にした。

 

 

 『せ、戦争はどうなるのですか? 私がもどれば、あなたの眷属は撤収するのですか?』

 

 

 《・・・貴様が戻れば眷属は撤収する。ケンタウロスは敗退するだろうな。数ばかり増えて、獣神への信仰を忘れた者どもだ。奴らが幅を利かせることでこの星の多様性が失われておった。お前の件のついでに、獣神に少し助力しただけだ。お前が転生させた人材が傷つくことはないだろう。


 私からも聞いておこう。そこまで転生させた人材に頓着するお前が何故逃げた?

 お前がいない間、無能な部下どもに転生させられる人材達がどうなるか考えなかったのか?》

 

 

 (は・・・・・・?今何を言われた・・・・・・?)

 

 

 弱った私の頭では、言われた意味すぐに理解することはできなかった。

 とりあえずトート達の無事が確認できた・・・その後は。。


 冷静になりウラノースの言葉を反芻した私は、唐突にーーーーーキレた。 

 


 『あ、あんたがそれを言うのか!私に膨大な量の仕事を振っておいてふんぞり返っているだけのあなたが!』

 

 

 これまでの無気力が何だったのかわからないくらいに、口から言葉があふれ出てくる。 

 

 

 『私のことも散々馬鹿にしてきたくせに、嫌々上位神に引き上げたくせに、今更、私の責任感や使命感を問うのか?

 ならばあんたはどうだ?土着の神を育てもせずに放置した結果が今の人材不足だろう。

 あんたのことだから、私のことも引き立ててやったくらいに思ってるんだろう?現実は違う!

 私は元の場所が気に入ってたんだ。存在進化なんて望んじゃいない。

 それを勝手に、あんたと元上司が引き上げたんだろうが!?

 それでもようやく、地球での仕事が、地球の人材のことが好きになってきたのに、そんな中で他の星の面倒までみろなんて信じられない。

 私のためを思うんだったら、まず私の意見を聞けよ。どうしたいか?と。

 そんな簡単なことすら怠ってきたから、地球の他の神々だって内に籠って働かないんだろうが。』

 

 

 一気に言い切った後、ああ、これは消滅を免れんなと思った。

 だが不思議と気分は落ち着いていた。ため込んでいたものを全て吐き出した気分だ。

 ウラノースがこの星ごと私を消滅させようとするならば、全神力を使って止めなければならない。

 だがウラノースは茫然としたまま固まっているばかりだ。

 おかしい。こんなことでショックを受けるような神ではないだろうに。

 そんなことを思っていると、突然、新たな気配が出現した。

 

 

 《ちょうどいいタイミングみたいですね。猫さんはお久しぶり。エクスさん大活躍で助かっているわ。》

 

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